OJTは先輩・上司の教育にもなる~OJTのポイント
   
カテゴリ:人事労務
作成日:04/10/2007
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 本日は、新入社員研修でインストラクターをしていただいた川村先生に、これからの新人教育の方法について、総務部が相談をしています。
 


旭課長
「先日はありがとうございました。おかげさまで、皆とても仕事に意欲を持っています。そこで、これからは各職場で彼らを育成する、いわゆるOJTをするわけですが、そのポイントについて、ご相談しようと思いまして。」
 
リエ
「新入社員が入ると、いつも自分が入社したころを思い出します。私の経験でも、研修で習ったことと実際の仕事の違いに悩んだりして、研修を受けたときはやる気があったのに、仕事に入ったら落ち込むみたいなことがよくありました。そういう時に、職場の上司や先輩がうまくアドバイスしてくれることで、早く立ち直ることができますから、OJTはすごく重要だと思います。」

川村
「先日の研修では、新人の皆さんがとても元気よく、意欲満々でした。その意欲を各職場の上司や先輩たちがよく理解した上でOJTをしていくことが重要です。そこで、まずOJTの目的を考えてみると、(1)日々の業務を円滑にできるようにすること、(2)職場のチームワークを維持向上させること、(3)意欲を喚起して自己啓発を助けること、ということが挙げられます。これらの目的を総合的にとらえてOJTを行う必要があります。」

旭課長
「OJTは重要なことは分かるのですが、よく職場の上司や先輩から愚痴を聞いたり、また新人からもいろいろな悩みを聞きます。それらを整理すると、(1)忙しくて、教えている時間がない、(2)自分でやった方が早いと思って、任せることができない、(3)人によって教えることが違って、統一性がない、といったような内容が多いです。」

川村
「大体どこでも同じような悩みを抱えています。OJTは新人に対する教育訓練なのですが、実は、それを通じて上司・先輩の教育になるということ、このことに上司・先輩は気づく必要があります。正確に教えるためには、その前に自ら学ぶ必要がありますし、教えることを通じて、相手の反応からいろいろ学ぶことがあります。」
 

リエ
「そうですね。私も初めて後輩が入ったときは、教えるためにマニュアルを整理したり業務の手順を改善したりしました。その時は大変でしたけど、その後は業務もスッキリして随分効率が良くなったように思います。その意味では、OJTは業務の見直しの良いキッカケになりますね。」

 
川村
「人のために教えるという考えだけでは、狭いですし、OJTの成果も大して得られません。このことを前提に、OJTのポイントを整理してみます。(1)時間は計画的にとること。仕事の合間だけでなく、まとまった時間を予め取ることです。(2)ある程度まとまった仕事を与えること。細切れの仕事だけではなかなか成長しないので、計画(段取)-実行-チェックのサイクルがきちんと回るような仕事の与え方をしてみること。(3)OJTは先輩・上司の仕事としてとらえ、自らの指導スキルを磨くこと、具体的には現状の業務の進め方や指導方法を見直して標準化を進めることです。(4)業務内容だけでなく、人間関係や仕事に対する意欲などについて的確に把握するために、できるだけコミュニケーションを密にとることです。」

旭課長
「大企業では会社全体で体系的に教育研修をしていることが多いですが、中小企業は、そういう所が弱くて、結局現場任せになってしまいます。しかし、やり方はともかく、人を育成することは会社にとって重要な業務だということを皆で再認識する必要がありますね。」