健康保険の給付 ~療養費~
   
カテゴリ:人事労務
作成日:03/10/2009
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は守田先生がいらっしゃっています。

リエ
「先生、こんにちは。早速ですが、教えていただきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか。」

守田
「はい。何でしょうか。」
  

リエ
「実は会社員の友人が、旅行先で急に具合が悪くなって病院にかかったそうなんですが、保険証を持っていなかったので全額自費で診療を受けたそうなんです。通常は病院等にかかると3割の負担で済みますが、このような場合は全額負担しないといけないのでしょうか?」

 
守田
「お友達の場合は療養費の支給対象となるかもしれません。」

リエ
「療養費とはどんなものですか?」

守田
「健康保険における医療給付は、保険証(正しくは健康保険被保険者証)を提示して診療を受ける『現物給付』が原則ですが、やむを得ない事情で保険医療機関で保険診療を受けることができず自費で受診したときなど特別な場合には、その費用について療養費が支給されます。」
 
 
療養費が支給される場合とは
 
1.
保険診療を受けるのが困難であると保険者が認めたとき
1)
近くに保険医療機関がないとき
2)
事業主が資格取得届の手続き中により健康保険被保険者証が未交付のため、保険診療が受けられなかったとき など
 
2.
やむをえず保険医療機関以外で診察や手当をうけたとき
不慮の事故や旅先などで急病になり、保険医療機関となっていない病院で自費診療を受けたとき
 
 
リエ
「療養費が支給されるとして、金額はどのようになるのですか?」

守田
「療養費の額は、原則として、実際に支払った額ではなく保険診療を行ったとした場合の基準によって計算された額から一部負担金を差し引いた額が支給されます。」

リエ
「では、被保険者証を提示して病院にかかった場合と同じ負担で済むということなのですね!」

守田
「そうです。」

リエ
「それは安心しました。請求の手続きはどのように行えばよいのでしょうか?」
 


守田
「『療養費支給申請書』に医師の領収(診療)明細書など必要な書類を添付して、全国健康保険協会または健康保険組合に提出してください。」
 
リエ
「例えば、海外旅行中に病院にかかった場合はいかがでしょうか。」

守田
「日本の保険適用となっていない医療行為については給付の対象となりません。請求の際は診療内容明細書及び領収明細書を添付しますが、これらが外国語で記載されている場合は日本語に翻訳したものを請求する側が用意しなければなりません。いずれにしても提出前に確認したほうが良いでしょう。また、請求は支払った日の翌日から起算して2年以内に行わなければ時効になってしまいます。忘れないうちに早めに手続きしたほうが良いと思いますよ。」

リエ
「良く分かりました。早速友人に教えておきます。」