育児休業中、職場復帰後の社会保険の取扱い
   
カテゴリ:人事労務
作成日:04/13/2010
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は守田先生がいらっしゃっています。
 

リエ
「先生、こんにちは。以前から出産絡みの給付関係について教えていただいていますが、育児休業中は社会保険料が免除になると聞いたことがあります。今日は保険料の関係について、詳しく教えていただけますか?」

 
守田
「わかりました。育児休業終了後も特例措置がありますので、併せてお話しましょう。」

リエ
「よろしくお願いします。」

守田
「まず育児休業期間中の社会保険料は、申出書を提出することにより本人負担分だけでなく会社負担分も免除となります。この免除となる期間は、最大で養育する子が3歳になるまでです。」

リエ
「保険料が免除になるということは、将来受け取る年金額に影響があるのではないでしょうか。」

守田
「いいえ。育児休業中の免除期間は、保険料を納付したものとみなして年金額が計算されることになっていますから、その心配はありません。」

リエ
「なるほど。」

守田
「そして、育児休業から復帰後に賃金が下がった3歳未満の子を養育する被保険者について、育児休業等終了時月額変更届を提出することにより、標準報酬月額を改定することができます。」

リエ
「標準報酬月額の改定なら随時改定がありますが、違いはなんでしょうか。」

守田
「簡単にまとめると以下のようになります。」
 
報酬改定の種類随時改定育児休業等終了時改定
変動する賃金の種類固定的賃金非固定的賃金でも可
従前と3カ月平均した標準報酬月額の差2等級以上1等級でも可
報酬支払基礎日数3カ月とも17日以上必要17日未満の月は除く
 
リエ
「育児休業等終了時改定の方が、要件が緩和されているのですね。非固定的賃金でも可ということは、残業ができなくなったため賃金が減ったような場合でも、標準報酬月額の改定ができるということでしょうか。」

守田
「そういうことになります。また、この手続きをして標準報酬月額が低下した3歳未満の子を養育する被保険者について、養育期間標準報酬月額特例申出書を提出することにより、従前の標準報酬月額で年金額を計算する特例を受けることができます。」

リエ
「つまり、子育て中の保険料負担は軽減され、年金を受け取る段階では低下する前の標準報酬月額で計算してもらえるということですね。」
 


守田
「そうです。さらにこの特例は、3歳未満の子を養育する方ならだれでも適用できます。被保険者のお母さんばかりでなくお父さんも要件に該当すれば特例が受けられますので、上手に使いたいですね。」
 
リエ
「なるほど。ずいぶん手厚いですね。」

守田
「年金制度における次世代育成支援策の一環ということのようです。担当者としても出産から育児休業、職場復帰後も手続きが続くのでミスのないようにしていきたいものです。」

リエ
「はい。ちなみにこれらの届出書等の提出先はどちらですか?」

守田
「いずれも会社を管轄する年金事務所(旧社会保険事務所)になります。」

リエ
「よくわかりました。ありがとうございました。」