決算書を知ろう(4)~損益計算書の見方
   
カテゴリ:財務/資金繰り
作成日:06/18/2003
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエ
「旭課長、貸借対照表のことは教えて頂いたんですが、損益計算書の見方も教えて頂けますか。」

旭課長
「まあ、簡単に言うと決算書の貸借対照表というのは、決算日における会社の財政状態を表すもので、損益計算書というのは一定期間、決算書の場合だったら期首から期末までの業績を表すものということになるね。」

リエ
「なるほど、確かに損益計算書は最終的に利益が表示されていますね。」

旭課長
「そう、そしてその利益がどういう過程で生まれたかということも表しているんだ。」

リエ
「と、おっしゃいますと?」

旭課長
「利益というのは、収益から費用を差し引いて計算されるのは分かると思うけど、一口に収益や費用といってもその種類は様々で、損益計算書ではどういう収益や費用が発生したかを表示するようになっているんだよ。」

リエ
「そうか、そのために色々な勘定科目があるんですね。」
 

旭課長
「うん、そして損益計算書ではそれらの収益費用の性質によって表示される場所が決まっているんだよ。大きく分けると経常損益の部と特別損益の部に分かれていて、さらに経常損益の部を営業損益の部と営業外損益の部に区分して、それぞれの部で利益を表示することになっているんだ。表示される順番は経常損益の部からで、さらにその経常損益の部の中ではまず、営業損益の部が表示され営業利益が計算される、その後に営業外損益の部があって、経常利益が表示される。そしてその後に特別損益の部が表示されて当期利益が計算されるんだ。これらがどういった意味を持っているか分かるかな?」

 
リエ
「う~ん、言葉の意味から考えると何となく経常損益というと経常的な利益や損失で、特別損益というと特別な利益や損失といった感じがしますね。」

旭課長
「そのまんまだね、まあでも間違ってはいないよ。経常損益の部というのは、その会社が普通に商売をしていくにあたって、当然発生するであろうと思われる収益や費用が含まれているから、その会社の通常の収益力を表していることがいえるね。これに含まれる収益としては、本来の業務によって発生した売上、そして本来の業務とは関係なくても、毎年経常的に発生するであろうと考えられる預金の利息やその他の雑収入等がある。費用としては売上に直接必要な仕入や外注費、そして本来の業務をしていくうえで当然必要になる人件費や家賃をはじめとした販売費及び一般管理費、それに収益と同様に毎期発生すると考えられる借入金の利息などがある。それに対して特別損益というのは、臨時的なもの若しくは前期以前の損益の修正などが該当するんだけど、具体的には会社が所有している車や建物、土地などの固定資産を売却若しくは除却した場合に生じる売却損益や除却損、また前期の損益の修正である前期損益修正損益などがこれにあたるね。」
 


リエ
「ということは、当期利益が同じ100万円でも経常利益がプラス100万円の会社と、経常利益がマイナスなのに不動産などの売却益によって当期利益がプラス100万円になっているような会社とでは評価が違ってくるということですね。」
 
旭課長
「その通り、今のリエちゃんの例だと前者は問題ないけど、後者の当期利益100万円はたまたまで、このまま何も改善できなければ、次の事業年度は赤字になってしまうことが予想されるからね。」

リエ
「なるほど、決算書って良くできているんですね。」

旭課長
「まあ、今まで話したことはあくまで基本的なことにすぎないけど、見る人が見れば決算書というのはその会社の色々なことが分かるものだから、会社や外部の人にとってとても大事だし、また会計基準にきちんと則って作成しないと意味のないものになってしまうから、毎日の経理をきちんと正確に実行していかなくてはいけないということだね。」

リエ
「はい、分かりました。」