「中小企業の会計に関する指針」チェックリストとは?
   
カテゴリ:財務/資金繰り
作成日:09/05/2006
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


旭課長
「黒田さん、先日銀行からこんなものを渡されて提出するように言われたんですが……。」

黒田
「ああなるほど、中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリストですね、最近よく見かけるようになりましたね。」

リエ
「それはどういうチェックリストなんですか?」
 

旭課長
「それを記入して提出すれば、借入金の利率が下がる可能性がある、と言われましたよ。」

 
黒田
「今銀行ではそのような対応をしているようですね、このチェックリストは簡単に申しますと、正しい決算書を作成しているかどうかを確認するためのチェックリストです。」

リエ
「正しい決算書というと?」

黒田
「一定規模以上の会社というのは、決算書を作成する際には公認会計士の会計監査を受けて、その公認会計士が正しい決算書であることを認めてくれないと決算書として公表することはできません。新聞等で色々と報道されることはありましたが、この公認会計士の監査というのはとても厳密で、高いレベルでの会計に関する専門知識を要するものなんです。ただ、そんな大きな会社というのは日本でもごくわずかで、また公認会計士に支払う監査報酬も高額なことから、そこまで大きくない会社については公認会計士の監査を受ける義務がありません。そのため多くの会社が決算書を作成する場合は、自社で作成したり、いわゆる街の会計事務所に作成を依頼したりしています。そうなると公認会計士の監査ほど厳密には作成しませんし、税理士が作成する場合には税法の基準に則って作成することが多く、税法と会計では取扱いが違うことがあり、税法の基準に則って作成したものは厳密には会計基準に則った決算書とはいえません。さらに、いけないことではありますが実態よりも良い数字の決算書にしてしまったりすることもあるようなので、金融機関からすれば公認会計士の会計監査を受けている決算書と比較したら、今ひとつ信用性に欠けるものになっています。」

リエ
「当社も公認会計士の監査は受けていませんが、やはり問題はあるのでしょうか?」
 


黒田
「問題があるわけではありません。一般的な会計基準というのは原則として上場企業のような大きな会社を想定して定められていますので、いわゆる中小企業にとってはかかる手間や費用を考えたら、とても割に合わないものですから、いわゆる中小企業用に会計基準の簡易版のようなものが新たに作られました。それが『中小企業の会計に関する指針』です。」
 
旭課長
「このチェックリストはその中小企業の会計に関する指針に則って決算書が作成されているかどうかのチェックリストなんですね。」

黒田
「おっしゃるとおりです。このチェックリストはあくまで税理士が決算書を作成した場合に限られていますが、税理士が決算書を作成し、このチェックリストにバツが付かない状態でその税理士が署名捺印をすれば、金融機関に対しても一定の証明になります。」

リエ
「なるほどこれがあれば決算書の信用性が増して、結果として銀行が利率を下げてくれるということになるんですね。」

黒田
「そのようですね、全ての銀行がそのように対応してくれるかは分かりませんが、最近あちこちでういうお話しは伺っています。」

旭課長
「ところで、当社の決算書はこのチェックリスト上問題はないんでしょうか?私が見たところでは、どのチェック項目にもバツは付かないと思うのですが。」

黒田
「ええ、御社の決算書についてはこの中小企業の会計に関する指針を前提に作成していますから問題ありません。」
 

リエ
「良かったですね、課長。これで借入の利息が安くなるかもしれませんね。ところで私もそのチェックリストを見てみたいので、あとで見せて頂けますか?」

 
黒田
「このチェックリストは日本税理士会連合会というところが作ったものですから、そこのホームページでダウンロードできますよ。」

リエ
「そうなんですか、じゃあ後でやってみます。」