借入金の返済計画
   
カテゴリ:財務/資金繰り
作成日:11/20/2001
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 工場長の亀井さんは、印刷工場を全面的に補修する計画を検討しているが、予算と資金計画に悩んで経理課に相談に来た。あいにく旭課長は不在でリエちゃんが相談を受けた。


亀井
「工場が老朽化しているので、全面的に補修工事を行う計画を作成しているところなんだが、経理のことがよくわからないので、資金計画については経理課に協力してほしいんだ。」

リエ
「資金計画ですか。補修工事の規模は金額でどれくらいですか。」

 
亀井
「先月、工事業者から3千万円の見積もりをもらった。」

リエ
「ということは、3千万円の資金調達方法と、借入する場合の返済方法を検討すれば良いわけですね。」

亀井
「よくわからないけど、よろしく頼むよ。」



 しばらくして、旭課長が経理課に戻って来た。

旭課長
「長期借入の資金計画か。リエちゃん、返済原資はどのように考える?」

リエ
「例えば、住宅の購入で個人がローンを組んだ場合、お給料から生活費を差し引いて、残りが返済原資になりますよね。だから、会社が借り入れた場合も、売上げから経費を引いて、残りの利益が返済原資になると思いますけど。」


旭課長
「個人の収支と会社の損益は違うから、単純に利益だけということにはならないよ。そもそも損益計算書上の利益がそのまま資金として留保されている訳ではないのだから。期首の資金残高を維持することを前提にすると、1期分の長期借入金の返済原資(A)は、税引前利益(B)、減価償却費(C)、法人税等(D)、配当金・役員賞与(E)として、A=B+C-D-Eになる。この金額と1期分の長期借入金返済額(X)を比較して、A>Xなら新たな資金調達をしなくても返済計画が成り立つ。逆にA<Xの場合は、新たな資金調達や借入期間の長期化をしなければ返済計画としては成り立たないことになる。」

リエ
「減価償却費は資金の支出をしない経費だから返済原資としてはプラスになるのですね。」

旭課長
「その通り。この方法で、会社の長期損益予算と借入金の明細から返済原資を算出できるので、シミュレーションしてみてね。」