根保証契約とは?
   
カテゴリ:財務/資金繰り
作成日:11/11/2014
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 リエちゃんが融資を受けるための書類を作成し、旭課長に確認をしてもらっています。




旭課長
「うん。ばっちりだね。仕事も早いし、リエちゃんももうすっかり一人前だね。」
 


リエ
「いえいえ、そんなことありません。まだまだ知らないことばかりです。先日だって恵子ちゃんに“根保証”について質問を受けたのですが、答えられませんでした。」


 

旭課長
「根保証について質問があったのかい?」

リエ
「えぇ。彼女は今、過去の融資契約書を整理しているそうなのですが、根保証の意味が良く分からないそうなんです。」

旭課長
「そうか。リエちゃんは保証人や連帯保証人の意味は知っているかな?」

リエ
「はい。保証人はあくまで、借主本人が返済できなかった場合に保証人が代わりに返済義務を負うのに対して、連帯保証人は、借主本人と同等の義務を負うことになるので、貸主から万一連帯保証人に請求があったとしても、すぐに支払う必要があるのですよね。」

旭課長
「その通り。ただ保証人、連帯保証人いずれもその保証している債務そのものがなくなれば自動的に保証債務もなくなる。これを『付従性』と言うのだけれどね。つまりは、1回限りの保証契約なわけだ。これに対して、根保証契約は、保証期間内で保証責任の対象となる借入の限度度額(極度額)の範囲内であれば、たとえ返済があったとしても保証債務はなくならず、借主が再び借入をおこした場合には自動的に保証義務を負うことになるんだよ。」

リエ
「けっこう厳しい内容なのですね。なんで、根保証契約を結ぶ必要があるんですか?」

旭課長
「たとえば、何度でも借入れと返済を繰り返すような場合、普通の保証だと返済の都度保証人を探したり契約をやり直したり何かと面倒だよね。その点、根保証契約を結ぶと、新規の借入を起こす場合でも、保証期間内で極度額までは、新たな保証人を探す必要も契約し直しの必要もなくて、借主・貸主お互いにとって効率的と考えられているんだよ。」

リエ
「うーん。効率的なのはあくまで借主と貸主ですよねぇ。保証人は特にメリットないような気がしますが。」

旭課長
「ケースとしては、中小企業の社長が自分の会社の事業資金や運転資金などの融資のために根保証契約を結ぶ場合が多いかな。利便性から考えてね。」

リエ
「旭課長、最後に一つ教えて下さい。根保証と単純保証、連帯保証の関係ってどう考えれば良いのですか?」

旭課長
「根保証はそもそも主契約がなくなれば保証債務もなくなるという付従性をなくして継続的な取引が円滑に行われるよう考えだされたものだから、単純保証、連帯保証どちらも根保証を入れることができるよ。」

リエ
「通常の保証人、連帯保証人でも根保証はつけられて、根保証がつくと保証期間内は極度額の範囲内で何度でも保証債務を負う可能性があるということですね。」

旭課長
「そうだね。ほかには保証期間が終わったとしても、その時点で残っている債務については、保証しなければならない点に注意が必要かな。とにかく、保証契約に関しては良く理解したうえで契約をしないとあとでトラブルになるケースが多いから気を付けないとね。」


用語解説


(1)

極度額
保証責任の対象となる借入の限度度額のこと
 

(2)

限定根保証
極度額ないし期限を定めた保証のこと
 

(3)

包括根保証
極度額や期限の定めのない保証、ただし個人に対しての包括根保証について2005年4月1日施行の改正民法により禁止されている。