決算書を知ろう(3)~貸借対照表で負債と資本が表す意味
   
カテゴリ:財務/資金繰り
作成日:05/06/2003
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエ
「では旭課長、貸借対照表の続きの説明をお願いします。」

旭課長
「じゃあ、今度は貸借対照表の負債の部と資本の部について話そうか。負債や資本というとどういったものが思い浮かびますか。」

リエ
「負債といえば、やっぱり借入金ですね。それと買掛金、支払手形、ローン等の未払金もありますよね。資本は資本金ぐらいしか思い浮かばないんですけど…。」
 


旭課長
「うん、負債というのは、貸借対照表作成時(決算日)にどれだけの借金をはじめとした負債を決済する義務があるかということを表しているんだね。資本というのは、資本金の他にはその会社の設立からの利益の総額として未処分利益というのがあるね。まあ、資本の部にはこれ以外に特殊なものがあるんだけど、話が難しくなってしまうんでここでは省きますけどね。」
 
リエ
「はい、簡単にお願いします。資産の部は流動資産や固定資産に分かれるとおっしゃいましたけど、負債や資本も分けるんですか。」

旭課長
「資本の部は流動や固定といった分け方はしないけど、負債はリエちゃんの言うとおり流動負債と固定負債とに分けるよ。流動負債は支払手形や買掛金、その他に1年以内に決済しなければならない借入金や未払金などで、固定負債は決済までの期間が1年を超える借入金や未払金等となるね。」

リエ
「1年というのが基準になるんですね。流動や固定といった分け方をするのはなぜなんですか。」

旭課長
「うん、例えば流動資産が現金の50円しかなくて、流動負債である買掛金が100円あるっていう会社があったとしたらどう思う?」

リエ
「う~ん、あ!買掛金が決済できません。」

旭課長
「そう、まあ買掛金の決済までに売上による現金入金があるかもしれないけど、通常はこんな会社があったとしたらまず近いうちに資金がショートすると見られても仕方がないよね。こういうように流動資産と流動負債を比べる場合は、流動資産を流動負債で割って比率を計算したりするんだけど、この比率を流動比率というんだよ。」

リエ
「なるほど、よく分かりました。そういえば資産の部の時に、負債や資本は資産の源泉を表示しているとおっしゃいましたよね。」

旭課長
「その通り、貸借対照表では負債や資本に対して資産も表示されるんだけど、その資産をどうやって調達したのかが分かるんだね。例えば現金を100円持っている会社があったとするよね、この場合貸借対照表には資産の部に100円が表示されるんだけど、負債の部に100円の借入金があったとすると、その100円の資産は借入金によって調達されたということがいえるね。」
 

リエ
「なるほど、というと資産が100円、資本金が100円となっていれば、その資産の100円は株主からの出資によって得た資産ということになって、資産100円、資本金30円、未処分利益70円だと資産の内の30円を出資によって得ていて、70円を今までの利益によって得ているということになるんですね。」

 
旭課長
「そうそう、全くその通り。もう分かったと思うけど、今、私とリエちゃんが言った3通りのパターンは全部資産が100円の会社だけど、どの会社が一番状態が良いと思う?」

リエ
「最後の未処分利益がある会社が一番良いと思います。」

旭課長
「そうだね、こういった感じで貸借対照表の資産・負債・資本のバランスを見ることによってその会社の状態がみえてくるんだね。まあこんなところが貸借対照表のおおまかな見方ということになるんだけど、分かったかな?」

リエ
「う~ん、何となく…」