クラウドファンディングによる資金調達方法(2)
   
カテゴリ:財務/資金繰り
作成日:03/15/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 クラウドファンディングによる資金調達の方法について、前回の続きで中小企業診断士の進藤さんに相談しています


リエ
「前回、クラウドファンディングは、“インターネットを経由して、個人や企業が、製品・サービスの開発などのために、不特定多数の人々から資金を調達する仕組み”というご説明があり、いろいろなタイプがあるということでした。そのタイプについて教えてください。」



進藤
「大きく分けると、
(1)寄付型、
(2)購入型、
(3)投資型
の3つのタイプに分類されます。」

リエ
「(1)寄付型ということは、プロジェクトに賛同して寄付をするということですよね。」

進藤
「そうです。リターンは発生しません。ただ、通常の寄付と異なって、寄付した後のプロジェクトの状況が報告されるなど透明化されるというメリットはあります。ただ、寄付金として税金控除などの対象にはなりません。」

リエ
「(2)購入型は、製品とかサービスなどの見返りがあるということですね。」

進藤
「このタイプが最も多いです。資金提供の見返りとして金銭以外の商品やサービスを受け取れるということが特徴です。支援者はリターンに魅力を感じてプロジェクトに出資する場合が多いので、魅力的なリターンを用意することが重要な要素になっています。」

リエ
「(3)投資型は、不特定多数の人から投資を募るということだと思いますが、証券市場での上場取引とか金融商品などの問題がありそうですね。」

進藤
「購入型では、商品やサービスでのリターンだけであり、資金提供者に対して、事業活動の結果生み出された利益を配当金等の形で現金でリターンすることはできません。それを可能にするのが投資型ですが、このタイプを扱うためには、金融商品取引法によって金融商品取引業の登録が必要になります。投資型は、さらに
(a)貸付型、
(b)ファンド型、
(c)株式型
に分類されます。」

リエ
「購入型・寄付型は、調達する側から見ると、売上とか営業外の雑収入という扱いですね。それに対して投資型は、借入金とか増資という金融の取引になるということでしょうか。」

進藤
「そう考えられます。投資型は金融の取引になるから、金融商品取引法の規制を受けます。
(a)貸付型は、匿名組合を通じて事業者に貸付ける仕組みになっており、リターンは金利です。
(b)ファンド型は、匿名組合を通じて出資し、リターンとして配当を受け取るタイプで、投資信託と同様です。
(c)株式型は、非上場株式に投資するタイプで、株式上場によるキャピタルゲインおよび利益に対する配当がリターンとして期待できます。
クラウドファンディングは、業者によって得意な分野が異なっています。特に投資型は法規制があるので、扱える業者は限られます。」

リエ
「タイプの違いは分かりました。取引先の会社が企画するイベントの開催資金をクラウドファンディングで調達したいと社長から言われたのですが、これは購入型ですね。リターンとして、イベントの参加券とグッズの提供ということになると思います。これから得意な業者を調べてみます。ありがとうございました。」