中小企業の会計に関する指針って?
   
カテゴリ:財務/資金繰り
作成日:11/09/2010
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエ
「黒田さん、旭課長から伝言なんですけど。」

黒田
「なんですか。」

リエ
「『中小企業の会計に関する指針』の適用に関するチェックリストを伊豆野先生に頼んで欲しいってことなんですけど。」

黒田
「あぁ、わかりました。事務所に戻ったらすぐ手配しますよ。」

リエ
「ありがとうございます。ところで、そのチェックリストってなんですか。」
 


黒田
「まず『中小企業の会計に関する指針』というのは、平成17年に公表されています。これは中小企業の決算報告書の作成が信頼しうるものであるための最低限のルールをとりまとめたものです。」
 
リエ
「ふーん。」

黒田
「これによって、恣意的に決算報告書の数字をつくらないようにしようということでもあるんです。」

リエ
「それって、粉飾とかのことですか。」

黒田
「そういうのもあります。ただ、中小企業は俗に税務会計と呼ばれるルールで決算報告書を作成することが多いんです。」

リエ
「税務会計ですか?」

黒田
「これは、決算報告書に記載される税引前当期純利益と法人税における課税所得の乖離が少なくなり、経営者への決算説明が行いやすくなります。」

リエ
「それに問題があったんですか。」

黒田
「法人税の課税上は特に問題になることはないのですが、一番わかりやすい例だと減価償却費の計上があります。」
 

リエ
「毎期計上しますよね。」

黒田
「ただし、法人税法では減価償却は任意による計上が可能と解釈されているんです。」

 
リエ
「あぁ、そうでしたね。」

黒田
「このように、任意計上が混ざってしまうと公正な会計基準に則って作成されていないとして金融機関などからの信用度を下げてしまうんですね。」

リエ
「それだと困ります。」

黒田
「そこで、作成された決算報告書が中小企業の会計指針に従っているかどうかを証明するために、チェックリストが必要になったんです。従っていない場合はその理由等を記載する必要がありますから、税理士事務所としても今まで以上に気を引き締めないといけないと感じています。」

リエ
「特典なんかはあるんですか?」

黒田
「そうですね、金融機関に融資を申し込む時に添付をして、その内容が妥当と判断されたときは金利等の優遇が受けられるようですよ。」

リエ
「それじゃあ、うちの会社も融資を申し込むのかなぁ。」

黒田
「来月は賞与月ですからね。資金の検討も必要と思いますよ。」

リエ
「あっ、賞与か、それなら期待しないと。」