限界利益ってなに?
   
カテゴリ:財務/資金繰り
作成日:01/08/2002
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  




 決算に向けて、残り期間で目標利益を達成するため、必要売上高を検討することになり、経理部では予算と実績のデータを比較分析しながら、予算の見直しをすることになった。

リエ
「予算の中にある限界利益というのは何ですか。損益計算書には、売上総利益、営業利益、経常利益、当期利益はありますが、限界利益という言葉はないですよね。」

旭課長
「限界利益という概念は、管理会計で使うものであって、財務諸表の中には出てこないよ。予算を立てる場合には、会社を維持していくために、一体当社はいくらの売上高が必要かを求めなければならない。限界利益はそれを算出する時に使われる概念なんだ。」


リエ
「予算は損益計算書の形式では駄目なのですか?」

旭課長
「最終的には、実績と対比するために損益計算書の形式にするけど、先ほど言った必要売上高を求めるためには、損益計算書の形式では難しい。損益計算書上の経費や利益だけでは単純に数式を使って必要売上高を算出することができないんだよ。」

     
リエ
「では、限界利益を使えば必要売上高が数式で算出できるのですか?」
   


旭課長
「まず、経費を固定費と変動費に分ける。売上に関係なく一定額発生するのが固定費、売上に比例して増減するのが変動費。そして、限界利益というのは、売上から変動費を引いた値をいう。限界利益=売上高-変動費、限界利益率=限界利益/売上高。そこで、限界利益=固定費のときに利益がゼロで、そのときの売上高が損益分岐点売上高ということになる。すなわち、損益分岐点売上高=固定費/限界利益率ということになるんだ。」
  

リエ
「ということは、必要売上高は損益分岐点売上高に目標利益分の売上を足せば求められますね。」

旭課長
「その通り。それを数式で表すと、必要売上高=(固定費+目標利益)/限界利益率ということになる。」


リエ
「損益計算書では、固定費とか変動費という概念がないですね。製造原価の中に固定費が入っていたり、一般管理費の中に変動費が入っていることがありますもの。」

旭課長
「財務諸表は制度会計の規則に従って、財政状態や経営成績を表したものであって、経営上必要なデータは、その枠に捕らわれることなく色々な工夫をして提供する必要があるんだよ。」