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「領収書」にまつわるあなたの素朴な疑問に答えます
作成日:
01/26/2004
提供元:
月刊 経理WOMAN
宛名の書き方に決まりはあるの?
再発行のときにも印紙が必要なの?
「領収証」にまつわる
あなたの素朴な疑問に答えます
日頃なにげなく目にしている領収証。いざ作ってみると、宛名の書き方に決まりはあるのか、再発行のときにも印紙が必要なのかなど素朴な疑問が出てきます。そんな、いまさら人に聞けない疑問をQ&A形式でレクチャーします。
Q1
領収証は何のために発行するの?
領収証には大きく分けて次の二つの役割があるといわれています。
1)債務を弁済したことの証拠になる
→つまり、代金を支払ったことを明確にするという役割
2)二重の支払いを請求されることを防止する
→すでに支払済みの代金について再度請求されることを防止する
この二つは表裏一体の関係にあるため、領収証にどちらも過不足なく示されていることが必要となります。逆にいえば、これら二つの役割が領収証に明確に記されていなければ、その機能を果たしていないということになります。
Q2
領収証には何を記入しなければいけないのですか?
1)日付
2)宛名
3)受領者
4)金額
この4項目は最低限必要です。
また、Q1 2)「二重の支払いの請求防止」という観点に立つと、但し書きの書き方(詳細は後述)にも注意を払う必要があります。
Q3
宛名の書き方に決まりはありますか?
この質問については、法令上「○○でなければならない」という規定はありません。ただし、いわゆる「上様」領収証は好ましいものではありません。というのも、領収金額を支払った側が特定できないことで、次の三つのデメリットが生じるからです。
1)「二重の支払いの請求防止」ができないこと
2)税務調査などで否認されるなど先方に迷惑のかかる恐れがあること
3)紛失した場合に悪用される恐れがあること
また、社会通念上からも「上様」領収証が経常的に発行されていたとなると、御社の経営姿勢も問題とされかねません。
やはり、発行する場合は「お宛名はいかがいたしましょう?」と確認した上で、「株式会社○○」とか「○○株式会社」といった正式名称で記入すべきでしょう。
また、領収証を受け取る場合も、社名がきちんと記載されているかどうかを確認しましょう。
Q4
金額欄の記載について注意すべき点はありますか?
領収証の金額欄は実務上もっとも重要な部分です。不正利用やトラブルの防止策のためにも、次の点に注意しましょう。
1)数字の頭に、「¥」や「金」などを記入する
2)末尾には「※」や「也」を記入する
3)3桁ごとにカンマを打ち、桁数を増やされないようにする
4)あとで数字を書き込まれないように数字間を狭くする
Q5
取引先から領収証を再発行して欲しいといわれました。そのときにも収入印紙は必要ですか?
結論を先にいうと「必要です」。
そもそも印紙税法には20種類に区分された文書が存在し、それらの文書を作成した場合に、印紙を貼らなければならないこととされています。これらの文書を一般的に「課税文書」と呼んでおり、領収証は17号文書に該当します。
ですから、一つの取引について、領収証が作成される場合であれば、印紙税の対象になります(受取金額3万円未満は非課税)。たとえそれが、「写し」「副本」と称されるものであっても、正本または原本と同様にその数通のすべてに課税されることになります。したがって、再発行であっても課税文書であれば印紙税の対象になります。なお、課税文書に貼り付けた印紙は消印処理してあることが必要です。
Q6
印紙を貼らないで発行してしまいましたが、領収証としては無効でしょうか?
これもよくある質問ですね。考え方としては、取引としては有効ですが、領収証という課税文書を発行するわけですから課税義務は生じることになります。
つまり、経済取引を表わす領収証としては有効ですが、印紙税法違反としてペナルティーが課せられることになりますのでご注意ください。
Q7
印紙を貼らない場合のペナルティーとは?
印紙を貼らない場合のペナルティーとして印紙税法上、過怠税というものがあります。これは、課税文書に印紙税を貼らなかった場合に、印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(つまり、通常の3倍)に相当する過怠税が徴収されます。
また、印紙を貼り付けても所定の方法によって消印処理されていない場合には、同様に過怠税が徴収されます。
Q8
領収証を書き損じた場合の取扱いは?
領収証を書き損じた場合、通常、取引先にはお渡しできないはずです。また、消印済みの印紙がすでに貼ってある場合には、その印紙も無効になってしまいますので注意してください。
高額の取引において、実際には「無効」になった領収証の控が何の処理もされないまま残っていたりすると、税務調査では「現金売上の計上漏れではないか」とか「領収証が二重発行されているのではないか」という不信感を与えかねません。
よって、書き損じた場合は、領収証の「正」と「控」どちらにも大きく朱で×を付けて無効と記し、「正」と「控」を一緒にホチキス留めをしておくとよいでしょう。
Q9
領収証を再発行する場合の注意点はありますか?
まずは「再発行」と朱書きすることです。
次に、比較的高額の領収証については、事業年度ごとに通し番号を付け、領収証を再発行した請求書については請求書の控と領収証の控をホチキス留めしておくなどの処理が必要です。このような処理がなされていないと、やはり税務調査で売上の計上漏れなどの疑いが持たれる可能性があります。
常に「請求書」と「領収証」は照合できるようにしておくべきでしょう。
Q10
「但し書き」の書き方に決まりはありますか?
領収証の役割の一つが「二重の支払いの請求防止」であることは、すでに述べたとおりです。
売上代金の回収をするとき、商取引上、今月売上のものは来月末日回収とか15日締め翌月25日回収といったように、会社や取引先ごとに一定の基準があります。そのような売上代金回収の場合には、但し書きに「○月分売上代金回収分として」といったように明記することをお勧めします。これにより「二重請求の防止」に役立つばかりか、精算の済んでいるものと精算の済んでいないものを請求書と領収証の二つの書類から立証できるので、取引先との無用なトラブルの防止にもつながります。
また、小口経費の領収証であっても、「品代」と但し書きをするのはお勧めできません。飲食費関連であれば打合わせ会議費代、会食代として、図書教育費であれば参考図書代、新聞購読代、雑誌購読代として、といったように取引内容や商品名、その場の状況が思い起こせるように記入されているのが望ましいでしょう。
Q11
領収証はどのくらいの期間保管しておけばよいのでしょうか?
領収証そのものは、会社規模の大小に関係なく7年間の保存と定められています。
また、領収証を作成する側としても、作成した領収証は「控」になりますが、同様に7年間保存しておいた方がよいでしょう。
〔月刊 経理WOMAN〕