教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税
   
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作成日:09/25/2013
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


田中社長
「黒田さん、教育資金の一括贈与についてちょっと聞いてもいいかな?」

黒田
「はい、社長はお孫様に教育資金の一括贈与を検討されているのですか?」


田中社長
「いやいや、私は今のところその予定はないよ。私の友人が相続税の節税対策として生前贈与を検討しているらしいんだ。子供には住宅取得等資金の贈与、孫には教育資金の贈与を考えているらしい。」


 

黒田
「個人資産がたくさんある方なんですね。教育資金の一括贈与については平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に手続きをすれば、一人あたり最高1500万円まで贈与税が非課税になりますよ。」

田中社長
「でも、孫への教育資金って元々贈与税がかからないって聞いたことがあるけど………。」




黒田
「はい、そうです。教育資金を一括ではなく、必要な時に必要なだけお金をあげる分には贈与税はかかりません。ただし、大学4年間分の学費など教育資金をまとめてあげてしまうと贈与税がかかります。この一括贈与の非課税措置は一度に最大1500万円という資産を贈与できるので、ある程度資産を持つ人が相続税の節税を考えた時にメリットがある制度といえます。」
 

田中社長
「なるほどね。この非課税措置を受けるためにはどうすればいいのかな?」

黒田
「この非課税の適用を受けるためには信託銀行等で教育資金非課税申告書を作成し、お孫様名義で金銭を信託しなければなりません。そして、教育資金の支払いに充てた金銭に係る領収書等をすべて信託銀行等に提出しなければなりません。」

田中社長
「えっ、領収書を全部信託銀行に渡さなきゃいけないの? それはちょっと面倒だねぇ~。」

黒田
「この非課税制度は教育資金(※1)に充てられたものに限定されているので、内容確認が必要となります。ちなみに学校等以外の塾や習い事に支払う金銭は500万円が限度となります。お孫様が30歳に達する日に口座に係る契約は終了し、残金は終了した年の贈与税として課税されるので注意が必要です。」

田中社長
「将来の教育資金を試算してから贈与金額を決めたほうがよさそうだね。」

黒田
「そうですね、一括で贈与をするか、その都度できる範囲で援助をするか、よく考えてこの制度を利用するのが賢明だと思います。」


(※1)教育資金の範囲について


1.

学校等(学校教育法上の学校など一定のもの)に対して直接支払われる次のような金銭をいいます。


1)

入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学試験の検定料など

2)

学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用
 

2.

学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で、社会通念上相当と認められるものをいいます。


3)

教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供や施設の使用料など

4)

スポーツ又は芸術文化に関する活動その他の教養の向上のための活動に係る指導への対価など

5)

3)の役務の提供又は4)の指導で使用する物品の購入に要する金銭

6)

4)の金銭であって、学生等の全部又は大部分が支払われるべきものと学校等が認めたもの