部門別損益を見るための集計方法
   
カテゴリ:財務/資金繰り
作成日:10/08/2002
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


旭課長
「最近、得意先からの値下げ要求が益々強くなって、こちらも細かく分解して損益の管理をしていかないと、今までの利益は確保できないな。」

リエ
「細かく分解して見るということは、部門別に損益を見るということですか。」

旭課長
「そう。ウチの会社の売上は大きく印刷とデザインの2つに別れているから、まず印刷部門とデザイン部門で分けて損益を出すようにしよう。」

リエ
「売上は販売管理システムで細かく商品別・得意先別に集計されていますけど、経費が一緒になっています。」

旭課長
「まず、売上について部門別に集計できるように、部門と商品コードを結びつけてコード体系を設定することが必要だね。」

リエ
「売上原価については、この前、製品別の原価管理について検討しましたが、その考え方を使うことになりますか?」
 


旭課長
「原価は、製品コードを担当部門に結びつけ、製品別の原価を部門別に集計することになるよ。この前話したように、製造原価には材料費・労務費・外注費・経費があって、それぞれの費用発生の都度、製品別に割り振ることがポイントになるね。」
 
リエ
「人件費はお給料の集計表から部門に割り振れば良いでしょうか。」

旭課長
「人件費は給料だけでなく法定福利費もある。社会保険料は給料からの預り金と同額をその部門の経費に計上し、労働保険は対象者の給料の比率で配賦すれば良い。あと人件費では、役員報酬などそのままでは部門に割り振れないので、共通部門を設けてそこに計上し、財務システムで機械的に売上比率など一定の基準を設けて直接部門に割り振ることにする。」

リエ
「交通費や通信費、消耗品費などその他の経費も、一定の基準を設けて配賦することになりますね。」

旭課長
「原則として使用した部門が特定できれば、その部門の経費とし、特定できないものは、共通部門に入れて直接部門に配賦する。」

リエ
「経理課のように売上のない部門については、経費だけ発生しますが、どのようにしますか?」

旭課長
「売上のない部門で発生した経費は、各事業部門に配賦するか、または本社部門として部門を設け、売上は各事業部門からの分担金を決めて計上するか、どちらかだね。分担金は無しにすることもあるが。」
 

リエ
「部門別損益を見るときに、こうした集計方法を知らないと見誤ってしまいますね。経理課だけで決めるわけにはいかにように思いますが。」

 
旭課長
「そうだね。労力かけて集計しても活用されなければ意味がない。経営者-各部門責任者-経理課で、きめ細かな調整をして決めていくようにしなければいけない。とにかく、細かく損益を見て今後の施策を検討していくという本来目的を達成することが重要だよ。」