土地等の負債利子の計算って何?
   
カテゴリ:税務
作成日:11/15/2011
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエ
「黒田さん、ちょっといいですか?」

黒田
「はい、大丈夫ですよ。」


リエ
「以前、恵子ちゃんの実家でアパートを貸しているということで少しお話を聞かせて頂いたんですけど、最近本屋さんに行ったときにふと思い出して確定申告関係の本を見てみたんです。それで、不動産所得のところで、よく分からないところがあったんです。」

 
黒田
「そうなんですか。どんな内容だったんですか?」

リエ
「それはですね、不動産所得を求める過程で土地等の負債利子の計算という項目があったんですけど、それがどういったことなのか分からなくて。」

黒田
「なるほど、そこは中々ピンとこない部分ですよね。じぁ、簡単にご説明しますね。」

リエ
「お願いします!」

黒田
「この話をする前に確認ですけど、不動産所得が赤字の場合、給与所得など他の所得と合算して、赤字と黒字を相殺(損益通算)することができますよね。」

リエ
「はい、そうでした。」
 


黒田
「では、本題に入りますね。アパート経営をするにあたって土地・建物を取得するために銀行等から借入れをする場合がありますよね。当然、借入金の返済時には利息の支払いが発生してきますが、通常、その利息の支払いは不動産所得を計算する上で全額経費になっています。」
 
リエ
「はい。」

黒田
「ただ、不動産所得が黒字であればいいのですが、経費が多くかかってしまったなど不動産所得が赤字になる場合には、この赤字のうち、土地等を取得するために要した借入金利子に対応する金額は相殺(損益通算)できないことになっています。」

リエ
「へぇ、そうなんですか。建物はいいんですか?」

黒田
「はい。土地等には土地や借地権等が含まれますが、建物は含まれません。だから、リエちゃんが最初に言っていた土地等の負債利子の計算だけを行って、相殺できない金額を求めることが必要となる訳です。では、次に簡単な数字を使ってご説明しますね。」
 
 
〈ケース1〉、〈ケース2〉とも、土地等の取得に係る借入金の利子は40万円…(1)


〈ケース1〉
 不動産所得の収入金額 300万円
 不動産所得の必要経費 330万円
 不動産所得の金額 300万円-330万円万円=△30万円…(2)

この場合、(1)が(2)を超えるため、土地等の取得に係る借入金の利子40万円のうち、30万円は損益通算を行う上では経費として認められず、不動産所得は0円として他の所得と通算します。

〈ケース2〉
 不動産所得の収入金額 300万円
 不動産所得の必要経費 350万円
 不動産所得の金額 300万円-350万円=△50万円…(3)

この場合、(1)が(3)を超えないため、土地等の取得に係る借入金の利子40万円全額が損益通算を行う上では経費として認められず、不動産所得は-10万円として他の所得と通算します。
 
 
リエ
「そういった仕組みになっているんですね。イメージができました。」

黒田
「それは良かった! また何かあったら遠慮なく聞いて下さいね。」

リエ
「ありがとうございます。」