会社の経営状態を正確に表す税効果会計
   
カテゴリ:経理事務
作成日:09/06/2005
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエ
「黒田さん、今度当社で税効果会計を適用するかどうかを検討する予定があって、旭課長から黒田さんに教えてもらうように言われたんですけど、税効果会計って何ですか?」

黒田
「税効果会計というのは会計処理の方法のことで、決算の時に、将来支払うべき法人税の金額を増やしたり減らしたりする要因が存在していれば、その増減すると思われる税額を決算書上に計上する方法のことです。」

リエ
「良く分からないんですけど、それを適用することによって何かメリットはあるんですか、例えば税金が安くなるとか…。」
 

黒田
「いえ、税額には全く影響しないんですよ。この税効果会計を適用すると決算書の損益計算書上では『法人税等調整額』という科目で利益に加算されたり減算されたりするのですが、税金を計算する時には、この法人税等調整額というのはないものとして計算しますから、納付する税金が安くなったり高くなったりすることはありません。」

 
リエ
「じゃあ何のためにやるんですか?」

黒田
「税効果会計というのは、決算書によって会社の経営状態をより正確に表示させるためのものです。ですから株式を公開しているような大会社では、株主をはじめとしたたくさんの方に経営状態を知らしめなくてはなりませんから、税効果会計が必要になります。」

リエ
「というと、当社みたいに社長が株式のほとんどを持っているような中小零細企業では意味がないんでしょうか。」

黒田
「そうですね、でも会社の経営状態を決算書によって正確に把握できるようにするということは、どんな会社でもとても大切なことですから意味がないとまでは言えませんよ。」

リエ
「そうですか、例えば金融機関をはじめとした対外的には、税効果会計を導入したらどのように見られるんでしょうか。」

黒田
「そうですね、外部の方が御社の決算書を見て税効果会計が適用されているのが分かった場合には、中には税効果会計によって会計処理がきちんとなされている会社だと評価して下さる方もいらっしゃると思います。」

リエ
「中にはですか…。」

黒田
「そうですね、見る人の知識や考え方によって様々ですから、どう評価するかは人によるでしょうね、でも悪く考える人はいないはずですよ。」

リエ
「他には何かありませんか。」

黒田
「これは適用する会社の状況にもよりますが、税効果会計を適用すると、結果として損益計算書に表示される会社の当期利益が増えるケースが多いので、当期利益が増えるのであれば対外的には評価が高くなるはずですよ。」
 


リエ
「そうか、その上当期利益が増えても税金が増えるわけではないから、それは良いことかもしれませんよね。じゃあ今度税効果会計の具体的なやり方も教えて下さい。」
 
黒田
「かしこまりました。」