改正になった配当所得の課税
   
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作成日:07/22/2008
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 リエちゃんが、信用金庫さんの配当通知を手に何か考えていると旭課長と税理士事務所の黒田さんが入ってきました。

旭課長
「どうしたの、リエちゃん。」
 

リエ
「先月からいろいろな配当通知が来ていますが、来年から配当所得の制度が変わりますよね。どんな点が変わるのでしょうか。」

 
旭課長
「最近のリエちゃんは、とても研究熱心だね。では黒田さんお願いします。」

黒田
「配当所得の税制改正について次の3点について、要点をお話ししましょう。まず、配当所得の軽減税率の廃止。」

リエ
「またまた、国民負担の増加ですか。税制改正も値上げの話になっちゃうんですね。」

黒田
「上場株式等の配当に係る源泉税が、現行の7%(他に地方税3%)からH21.1.1以後は原則として15%(他に地方税5%)になります。ただし、H22.12.31までの2年間に限り100万円までの配当所得については現行の軽減税率が適用されます。」

リエ
「100万円までが軽減税率なら、H22年までは実質的な負担増なしって考えて良さそうですね。」
 


黒田
「次に、上場株式等の配当所得について申告分離課税制度を選択でるようになります。配当所得は原則として総合課税の対象とされていますがH21.1.1以後は上場株式等の配当等については、その全部について総合課税・申告分離課税のいずれを選択するか統一して申告することになります。」
 
リエ
「黒田さん、どちらを選択した方が有利になるんですか。」

黒田
「一概にどちらとは言えません。総合課税を選択した場合、デメリットとしては所得税の累進税率が適用されますし上場株式等の譲渡損失との損益通算が適用されません。一方で配当控除の適用がありますのでメリットと言えます。一方、申告分離課税を選択した場合は、先程の総合所得の3つの適用が正反対となります。配当所得と他の所得とのバランスや総所得金額などいろいろな要素によって有利不利が変わりそうですから判断が難しいですね。」

旭課長
「するとその年ごとに有利不利を見極めることになりますかね。」

黒田
「ええ、それが3つ目の上場株式等の譲渡損失と配当所得との損益通算の話になります。損益通算をするためにはその配当について申告分離課税を選択することになります。上場株式等について譲渡損失が生じた年分の所得税の確定申告で、「上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書」及び「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を添付して提出し、その後連続して確定申告書を提出する場合には、控除しきれない譲渡損失が生じた年の翌年以後3年間にわたって上場株式等にかかる配当金も損益通算をすることができるようになります。」

リエ
「その控除しきれなかった上場株式等の譲渡損失がある場合に、どちらにするか決めなければならないんだけど判断できるかな?」

黒田
「そんなことになったら、相談してください。一緒に考えましょう。」
 

旭課長リエ
「その時は、よろしくお願いします。」