開業にかかる費用の経理処理は?
   
カテゴリ:経理事務
作成日:12/13/2005
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 11月分の監査と、年末調整も終わり、リエちゃんが別件で黒田さんに相談しているようです。

リエ
「黒田さん、実は私の知り合いが、事業を始めることになりまして……」


黒田
「新規開業ですか?それはすばらしいですね。」


リエ
「ええ、ちょっと相談を受けたのですが、聞いてもいいですか。」


黒田
「はい、いいですよ。」

 

リエ
「ありがとうございます。実は新規開業といってもフランチャイズのチェーン店なのです。法人を設立してから数ヵ月経過していまして、すでに従業員の給料や、研修費用、またフランチャイズ加盟金などが発生していて、こういったものは全て経費で落としていいのかって聞かれたんですけど……」

 
黒田
「なるほど、そういうことですね。答えから先に言いますと、全ては経費で落とせません。」


リエ
「やっぱりそうなんですか。私もそう思ったんですけど、現実に開業時の経理をやったことがないんで、具体的な話になるとなかなかわからなくて……」


黒田
「まず、今出てきた中ではフランチャイズ加盟金についてですが、この加盟金が将来、返還される可能性のあるものかどうかなどによっても取扱いが変わってきます。もし、仮に契約期間が1年以上あり、かつ返還されないものであれば、繰延資産として処理するのがよいかと思います。」


リエ
「もし、繰延資産だとした場合、どのように償却していくんですか。」

 


黒田
「まず、償却期間についてですが、契約期間がこの費用の効力が及ぶ期間と考えられるのですが、この場合はノウハウの頭金と考えて5年とするのが良いかと思います。ちなみに、この繰延資産はいわゆる任意償却ではなく、その償却期間によるその事業年度分の償却限度額を計算するため、償却不足額を翌年度の償却費に加算して償却費を計上した場合、損金の額に計上することはできません。」
 
リエ
「そうですか。それでは、他の費用の場合はどうなるんですか?」


黒田
「税法上の開業費は、法人の設立後営業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用、とされていますので、家賃、水道光熱費、給料等については開業費に含まれず、費用計上することになります。研修費用については、特別に支出する費用と考えられるものであれば開業費と考えてもよいかと思います。ただ、今までのは一般的な話なので、実際には内容をみてみないと何とも言えませんね。もし良かったらその知り合いの人と直接お話した方がいいかもしれないですね。」


リエ
「そうですね。今度、事務所に相談にお伺いさせて頂くことになるかもしれませんがそのときはよろしくお願い致します。」