起票代行と記帳代行の違い
   
カテゴリ:経理事務
作成日:05/25/2010
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 リエちゃんと黒田さんがなにやら雑談しております。
 

リエ
「黒田さん、最近よその景気はどうですか?」

黒田
「あいかわらず景気の良いところは少ないですね。」

 
リエ
「こんな時って、会計事務所さんにも影響はあるんですか。」

黒田
「以前は景気に左右されずらい職種と言われていた時があるようですが、今は影響を結構受けますね。」

リエ
「黒田さんの事務所は、毎月経理状況の確認にお伺いするんですよね。」

黒田
「私たちの事務所では、毎月お伺いすることを巡回監査と呼んでいます。税理士には当然、関与先の業務上知り得た事実に対しての守秘義務があります。また、税理士法第45条第2項で相当注意義務というのも課されています。これは税理士であるならば、気づかなければならない事実を見過ごした場合処分をすることができますよ、ということです。人間誰しも間違いは犯してしまいますが、ミスを犯さないための最善の策として毎月の巡回監査は必要だと思っています。もし、年に一、二度の資料確認程度でうっかりミスをしてしまった場合、我々だけでなく関与先様にも迷惑かけてしまいますからね。」

リエ
「毎月来なくて良いから顧問料を下げてくれなんてお話はないですか。」

黒田
「ありますよ。でも、顧問料の高い低いと巡回監査をするしないは別の話だと思って欲しいですね。むしろ顧問料というのは困りごと相談料と考えてどんどん相談して下さいって感じです。」

リエ
「あと、記帳代行ってされているんですか。」
 


黒田
「していますよ。ただ記帳代行というのは関与先が作成した帳簿に基づいて試算表等の作成を代行することなんです。皆さんが領収書や請求書を渡して経理処理全般を依頼するのは起票代行と呼んで区別しています。」
 
リエ
「起票代行というのはしないんですか。」

黒田
「全くしないとは言い切れませんが、なるべく起票からの代行はしないようにしています。会計業務に不慣れな方であれば、初めはお手本として起票を行うことがありますが、毎月の巡回監査を通して徐々に関与先様自信で起票が出来るように指導させていただいています。また、関与先様自身で起票していただく理由に、作成された帳簿の証拠能力を担保する目的もあります。これは刑事訴訟法第323条の中で通常業務において作成された商業帳簿には証拠能力があるとされています。もし通常業務の流れから逸脱して起票が行われている場合、その書面の信頼性が損なわれてしまうという考え方ができますからね。」

リエ
「滅多にないこととは思いますが、黒田さんたちも大変なんですね。」

黒田
「その点、タナカ・デザインオフィスさんは独自に起票から記帳の業務まで行われていますから。私たちも本来の税務指導や経営支援に労力を使えるので大変助かっています。これからも頑張って下さいね、リエちゃん。」

リエ
「はい、これからもがんばります。」


参考 (株)TKC出版「TKC基本講座<理念編>」
         編著 TKC全国会中央研修所