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「災害損失特別勘定」の設定
カテゴリ:
作成日:08/09/2011
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
旭課長
「会社を経営している友人が、震災により液状化で会社所有の建物に被害を受けましてね。」
黒田
「それは災難でしたね。」
旭課長
「幸い補修工事で何とかなりそうなのです。しかし、建設業者に工事の依頼をしているのですが、なかなか動いてくれないそうです。」 | |
黒田
「建設業界も震災の影響で人材不足や資材不足などで混雑しているようですね。」
旭課長
「決算期も間近に迫っており、保険会社から保険金の確定通知を受けているのですが、どう処理していいのか困っていました。このような場合の税務上の取扱いについて何かありましたら教えて下さい。」
黒田
「今のお話をお聞きしていますと、『災害損失特別勘定』を設定することができます。この度の震災により被害を受けた棚卸資産及び固定資産の修繕等のために要する費用で、災害のあった日から1年以内に支出すると見込まれるものとして適正に見積もることが出来るものについては、『災害損失特別勘定』に繰り入れて、被災事業年度の損金の額に算入するこができることとなりました。」
旭課長
「災害損失特別勘定繰り入れができるとなりますと、限度額はどのようになりますか。」
黒田
「災害損失特別勘定繰入限度額については、次の1.または2.に掲げる金額のうちいずれか多い金額となります。ただし、被災資産のうち繰入対象とするものに係る保険金、損害賠償金、補助金により補填される金額がある場合には、その金額の合計額を控除した残額となります。」
旭課長
「修繕費の見積りの方法についてはどのようにするのですか。」
黒田
「修繕等を行うことが確実に見込まれる被災資産について、例えば次の金額によるなど合理的な方法で見積もることが必要になります。」
1. |
繕を請け負う建設業者、製造業者等による見積額
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2. | 壊等の程度が、おおむね50%以上の場合は、次のiからiiを控除した金額となります。
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| i | 再取得価額又は国土交通省建築統計年報の建築価額等を基礎として、その取得の時から被災事業年度終了の日まで償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額
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| ii | 被災事業年度終了の日における価額
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リエ
「被災事業年度の翌事業年度で、災害損失特別勘定を取崩して益金の額に算入することになるのですか。」
黒田
「翌事業年度終了までに修繕等が完了していましたら、そうなります。」
| リエ
「修繕等が遅れ、翌事業年度終了までに完了しない場合も有り得るのですね。」 |
黒田
「そうです。被災資産の修繕等がやむを得ない事情により1年経過事業年(災害のあった日から1年を経過する日の属する事業年度等)終了の日までに完了しなかった場合には、所轄税務署長の確認を受けることにより、修繕完了事業年度等(修繕等が完了すると見込まれる日の属する事業年度等)を1年経過事業年度等することができますので、益金算入時期を延長することができます。」
旭課長
「災害損失特別勘定繰入額が過大であった場合にはどうなりますか。」
黒田
「被災事業年度終了の日の現況において合理的に見積りをした修繕費用等の額に基づいて繰り入れた災害損失特別勘定の金額が結果として過大であったとしても、その過大部分について、その繰入事業年度等にさかのぼって修正をする必要はありません。」
旭課長
「合理的に見積もることが大切なのですね。」
黒田
「災害損失特別勘定として経理し、被災事業年度等の損金に算入した場合は、被災事業年度等の確定申告等に『災害損失特別勘定の損金算入に関する明細書』を添付する必要があります。また、取崩しをした場合は、『災害損失特別勘定の益金算入に関する明細書』を添付します。」 | |
旭課長
「よく分かりました。友人に話してあげます。」
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