損益予算のポイントとは
   
カテゴリ:経理事務
作成日:03/16/2004
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 来年度の予算を作成する時期になり、経理課では損益計画を作成するために、営業部長と工場長が来て打ち合わせをしています。
 

旭課長
「まず、損益計画を作成します。損益計画は、売上高、製造原価、販売費・一般管理費について、それぞれ計画を作成します。その際に注意したいのは、製造原価と販売費・一般管理費は、変動費と固定費に分けて考えます。」

 
亀井工場長
「製造原価と販管費を変動費と固定費に分ける理由は何ですか。」

旭課長
「変動費は売上に比例的に発生する費用で、材料仕入、外注費、燃料費などです。固定費は売上に関係なく発生する費用で、人件費、地代家賃、通信交通費などのことです。費用を二つに分ける意味は、損益分岐点売上高と必要売上高を算出するためです。売上高から変動費を差し引いた金額を限界利益といって、利益計画を作成する際には、売上総利益(粗利)より重要な指標になります。限界利益率(限界利益/売上高)がわかれば、当社の損益分岐点売上高もわかります。」
 


上田営業部長
「今期の実績から見ると、当社の限界利益率は50%だね。」
 
旭課長
「その通りです。固定費が約4億円なので、損益分岐点売上高は4億円/50%で、8億円ということになります。すなわち、売上高が8億円を割り込むと赤字になるということです。そこで、目標売上の予算としては(固定費+目標利益)/限界利益率で算出します。目標利益を5千万円とした場合、目標売上は9億円になります。このことを前提に、実現可能な売上予算の作成をお願いします。」
 

亀井工場長
「今、工場の機械の稼働率を上げて、もう少し外注費を抑えることができる。また、デフレで材料費も若干安く仕入れることができるようになったので、製造原価をさらに削減することができる。そうなると限界利益率はもっと上がることになるのかな。」

 
旭課長
「限界利益率を1%上げることができれば、1500万円以上損益分岐点売上高を押し下げることができます。その分、経営安全率が高くなり、安定した経営ができるようになります。工場の方では、できる限り製造原価の削減に努め、限界利益率を少しでも上げられるようお願いします。以上の考え方を前提にして、売上予算を営業部で作成し、それに基づいて製造原価を工場の方でご検討お願いします。固定費は既に経理課で計画を作成していますので、それぞれの計画を持ちよって、さらに検討していきたいと思います。」