長期平準定期保険料の取扱い
   
カテゴリ:経理事務
作成日:12/18/2007
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 監査を終えた黒田さんがやってきました。

黒田
「リエちゃん、ちょっといいかい?」

リエ
「はい。なんでしょう?」
 

黒田
「今月から、工場の吉川さんが被保険者の生命保険に加入したので、これから毎月の保険料の支払い時の仕訳は、2分の1を保険料、2分の1を資産計上で処理して下さい。あれは長期平準定期保険に該当するんだ。」

 
リエ
「ん?長……平……?」

黒田
「長期平準定期保険といって、定期保険のうち、被保険者の保険期間満了時の年齢が70歳を超えるもので、かつ、契約時の年齢+(保険期間×2)が105を超える保険が該当するんだ。これに該当すると保険期間の6割相当を経過するまでは、保険料の2分の1は経費にせずに資産計上しなければならない。そして、6割相当期間経過後は資産計上した分を取り崩していく処理をする。吉川さんの保険の場合、契約時の年齢が36歳で保険期間が40年の保険だから、保険期間満了時には36+40で70歳を超えているでしょう。さらに、さっきの式に当てはめると36+(40×2)は116で、これも105を超えているから該当するんだ。」
 


リエ
「なるほど……。今まで払っていた保険も同じ理屈なんですね。この資産はいったい、どこまで増え続けるんだろうって、ずっと疑問だったんですよ。でも、なんでこんな面倒くさい処理をしなければならないんですか?」
 
黒田
「うん。考え方としては、保険というのは高齢になればなるほどリスクが増える分、保険料も高くなるのが普通だよね。でも、この保険は契約時の保険料が変わらないんだ。その分、本来なら後半に払うべきものを前半に多く払っているため、損金算入時期の適正化を図ろうとするものなんだ。」

リエ
「保険の種類も多様化しているし、経理処理も内容によって変わってくるから大変ですね。」

黒田
「そうだね。だから、保険契約の明細書一覧を作成しておくと便利だよ。」

リエ
「いいですね。ところで、この吉川さんの保険はいつから取り崩すことになるんですか?」

黒田
「保険期間40年の6割相当期間だから、契約を続けていれば今から24年後だね。」

リエ
「24年後か……その時もバリバリ働いていれるように頑張ります!」