販売管理と財務システムの関係
   
カテゴリ:経理事務
作成日:11/07/2001
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 リエちゃんは中間決算の集計をしているとき、販売管理システムで出力された得意先別の売掛金と財務システムの売掛金が一致しなくて悩んでいた。



リエ
「営業部が管理している売掛金と経理で算出した売掛金が合わないんです。」

旭課長
「前期までは、経理課でも売掛金の内訳を集計していたから、合わない場合は営業部の売掛金を無視していたけど、今期からは経理課では内訳の管理は止めようということになったからね。合わせない訳にはいかないよね。」

リエ
「なぜ、経理課で集計するのを止めたのですか?」


旭課長
「得意先の件数が増えて、二重に売掛金を管理しているのは非効率的だからさ。営業部の坂田部長と話し合って、販売管理システムをきちんと運用していけば、必ず一致するはず、という結論になったんだ。」



リエ
「でも、営業事務の真理さんが言ってたけど、営業部では、入金する直前でお得意さんから値引きの要求があったり、別件と相殺されたり、いろんな理由で何ヵ月も前の売掛金を変更することがあるということなんですよ。」

旭課長
「財務システムでは、毎月確定させるという考え方があるけど、販売管理システムでは納品書や請求書を出力する関係で、得意先に合わせることも考慮しなければいけない。だから、財務システムのように社内的なルールだけで機械的に運用できないという問題は確かにある。しかし、間接業務のスリム化は重要課題であり、千件を超える得意先の売掛金を営業と経理が二重に集計するという無駄は許されることではないんだよ。」

リエ
「どうすれば良いのでしょうか?」

旭課長
「やはり、販売管理システムにも、毎月確定させるという考え方が必要で、確定以後に変更の必要が生じた場合は、次月で変更処理すべきなんだ。販売管理を確定させたところで、財務システムと照合して、全社的に統一した正確な売上と売掛金を確定させる。そうすれば、営業部では現預金に裏付けされた正確な売上・売掛を把握することになるし、経理でも無駄な集計を排除して、試算表の出力を早くすることができるようになる。」

リエ
「私も真理さんに過去のデータを変えないようにお願いしているけど……」

旭課長
「リエちゃんや真理さんにとっては、迷惑な話かもしれないけど、この問題は、入力担当者だけで解決できるものではなく、全社的な業務システムを変えなければ解決できないね。今度、営業部の坂田部長とよく打ち合わせて細かな運用方法を決めることにする。今回の中間決算の売掛金は、罪滅ぼしに僕も一緒に調べるよ。注意するところは、販売管理側で過去に遡って変更した所と振込手数料の計上漏れ、それに消費税の端数誤差かな。」