製品別原価管理の導入
   
カテゴリ:経理事務
作成日:08/27/2002
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


旭課長
「先日の役員会で、製品別の原価管理を導入したいという要望が出され、経理課で、その方法を検討することになったよ。」

リエ
「製造原価報告書は製品別に集計する必要はありませんけど、どのような目的で製品別に原価を把握するのでしょうか。」

旭課長
「現状では、受注した製品が果たして採算がとれているのかどうか、よくわからないんだ。そこで、製品別に原価の実績を把握して、実績を基に営業時の見積もりの精度を向上させようというのが大きな目的。それに、これから製品構成の見直しをしていくに当たって、製品別原価は経営戦略を決めるときの重要な資料になる。また、営業部門にとっては個人別業績のデータになるし、経理にとっては棚卸評価の根拠になるので、活用の仕方は幅広いよ。」
 


リエ
「受注したけど、実績を見たら赤字なんてことがあるということですね。ところで、製品別に把握するには、かなり細かな仕組みが必要になると思いますけど。」
 
旭課長
「そうだね。まず、材料費から見ていくと、業者からもらう納品書・請求書から製品別の仕訳を起こして、集計する必要があるな。外注費も同様だね。そのためには、請求書に、製品名・製品コードを入れてもらわないと仕訳できないから、業者に対しても徹底しないといけない。できれば専用伝票をこちらで作って、それに記入してもらいたいな。」

リエ
「労務費を製品別に分けるのは難しそうですね。」
 

旭課長
「まず、製造での作業時間を金額に換算して算出することが必要だね。作業者が製品別に作業時間を日報に記入し、日報を集計する方法が一般的だと思う。労務費の中には、賞与や法定福利費なども考慮する必要があるから、時間単価は、(給料+賞与+法定福利費+その他人件費)/労働時間、で求めることになる。」

 
リエ
「水道光熱費などの工場経費は、製品別に特定されませんよね。」

旭課長
「経費には燃料費、消耗品費、配達費、通信費などがあるけど、これらの経費は製品別に特定されるものは製品別に仕訳し、特定されないものは配賦基準を決めて配賦することになるね。」

リエ
「ところで、このような製品別の原価の集計は今使っている財務ソフトでは無理ですよね。」

旭課長
「原価管理のソフトを購入するか、専用のソフトを作成することになるよ。それに導入に当たっては、経理部門だけでは不可能なので、営業と工場から担当者を選任して、プロジェクトを組むことが必要になる。まあ、大変だけど経営上の重要課題だから、実施しなければいけないんだ。リエちゃんにお願いだけど、今話した内容をレポートにまとめてくれないかな。今度の役員会に提出するから。」