10月支給の給与計算は特に注意が必要!
   
カテゴリ:経理事務
作成日:08/11/2009
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は社会保険労務士の守田先生がいらっしゃっています。

リエ
「ふ~。8月支給の給与計算が終りました。あとで旭課長に確認していただかなくちゃ。」

守田
「お疲れ様でした。ところで、10月支給の給与計算は特に気をつけてくださいね。」

リエ
「どういうことですか?」
 


守田
「今年も7月に算定基礎届を提出しましたよね。それを受けて決定された標準報酬月額は9月から適用となり、10月支給の給与より反映させます。また、毎年アップしている厚生年金の保険料率も同じタイミングで改定されます。」
 
リエ
「10月支給からの厚生年金の料率は何%になるのですか?」

守田
「現在が15.35%で、毎年のアップが0.354%ずつなので15.704%になります。」

リエ
「なるほど。でもおっしゃった内容は毎年のことですよね。特に注意が必要とはどういうことですか?」

守田
「昨年、健康保険の一部の業務が協会けんぽに移行したのは知っていますよね。現在協会けんぽの保険料率は全国一律で8.2%ですが、この9月分(10月支給)から都道府県支部ごとの健康保険料率に変わることになっています。」

リエ
「どうして都道府県支部ごとの保険料率になるのでしょうか?」

守田
「従来の全国一律の保険料率のもとでは疾病の予防等の地域の取組みにより医療費が低くなっても、その地域の保険料率には反映されないという問題点が指摘されていました。こうした中で先般の医療保険制度改革においては、政府管掌健康保険について、国保や長寿医療制度と同様に、都道府県単位の財政運営を基本とする改革が行われており、都道府県支部ごとの保険料率はこうした改革の一環として導入されたわけです。」

リエ
「医療費が低くなった都道府県支部は、保険料率も下がることになるということでしょうか」

守田
「そうですね。実際は、地域間の医療費や所得水準がそのまま保険料率に反映されるわけではなく、年齢構成の違いに伴う医療費の差や所得水準の違いが調整されたうえで保険料率が設定される仕組みとなっています。また、都道府県別保険料率への移行に当たり、保険料率が大幅に上昇する場合には激変緩和措置が講じられることとなっています。」

リエ
「当社はどこの料率が適用されるのでしょうか?」

守田
「被保険証を確認してみてください。被保険者証の保険者名称のところに事業所が加入している都道府県支部が記載されています。」
 

リエ
「え~と、私のは………『全国健康保険協会 東京支部』と書いてあります。東京支部の料率が適用となるのですね。」

 
守田
「そうです。東京支部は9月分(10月支給)から8.18%となります。会社の担当者は、自社の事業所でどの支部の保険料率が適用されるのか確認しておくことが必要ですね。」

リエ
「よくわかりました。十分注意します。」