ペイオフ解禁
   
カテゴリ:経理事務
作成日:08/28/2001
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 会社の決算・申告書についている銀行の残高証明書を見ていた旭課長ですが、ちょっと考え込んでいます。リエちゃんは、そんな課長の様子が気になって声を掛けました。

リエ
「旭課長、申告書の内容について、調べものですか。お手伝いしましょうか。」

旭課長
「ああ、有り難う。でもちょっとした確認なんで、いいんだ。ところで、リエちゃん、『ペイオフ』って言葉知ってる。」

リエ
「はい、何年か前にテレビで騒いだことがありましたね。たしか、金融機関が破綻した場合の補償額の話だったと思いますが。」

旭課長
「うん、そうだ。平成14年3月末日までは、預金は預け入れ額が全額保護されるけど、平成14年4月1日以降は1金融機関当たり元金1千万円までと利息しか保護されなくなるんだよ。」



リエ
「えー、それじゃ1千万円を超えて預けておいた預金はどうなっちゃうんですか。」

旭課長
「破綻銀行の財産状況によって支払われ、場合によっては一部カットになってしまう場合もあるんだ。」

リエ
「たいへん、全ての預金の種類が1千万円のカットの対象になっちゃうんですか。」

旭課長
「いや、当座預金や普通預金に限っては、平成15年3月31日までは保護されることになっているけど、金額的に問題になるのは定期性の預金だな。うちもA銀行の複数支店に1千万円を超える預金があるのでこれが問題だな。もっとも、借入の担保になっている定期預金もあるが・・・。」

リエ
「具体的にどんな点に注意すればいいんですか。」


旭課長
「うん、うちの場合、A銀行の2つの支店に定期預金がそれぞれ800万円と900万円を預けてある。ペイオフが解禁になると、1つの銀行で1千万円しか保護されないから、700万円が保護の対象外になってしまうんだ。来年の3月末までに、800万円が満期になるから、これを業績のいいB銀行に移すか、借入金の担保となっている900万円の定期を相殺するかどちらかの選択だな。」


リエ
「そういえば、うちのお父さん、家族名義の預金があるって言ってたわ。家族全部で1千万円ということなのかしら。」

旭課長
「ははは、大丈夫、親子であっても別人格ということで預金者(家族)毎に保護されるから心配ないよ。」