手形の基礎知識を覚えよう!
   
カテゴリ:経理事務
作成日:10/26/2004
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



旭課長
「A社から手形を回収してきたので、受取手形記入帳に記帳し、銀行に取立依頼をしておいてくれるかな。」
 

リエ
「はい、わかりました。最近、手形を頂く件数が増えてきていますが、受取手形を収受したときは、どんなことに注意しなければいけないのでしょうか。」
 

旭課長
「そうだな、手形要件を満たしているかチェックすること。手形では絶対に記入しなければならない項目が9つあるんだ。それは、約束手形文句、支払約束文句、支払期日、手形金額、支払地、受取人名、振出日、振出地、振出人の署名の9つ。これらすべて記入されていなければ法律上、完全な手形としての効力を持たないんだ。

手形用法によると、受取人名と振出日はできるだけ記入してくださいとされているが、これらは実際の権利内容とは関係がないため、振出日が未記載でも手形は銀行を通じて決済される。しかし、このような手形が万一不渡りになった場合、手形所持人が支払請求のために手形を呈示しても、そのままでは裏書人に対する権利を確保することができないんだよ。

だから、振出日が無記入であれば必ず書き込みをすること。また、受取人の名前に誤りがあるものは、割り引くことも裏書きすることもできなくなるんだよ。

また、手形の金額の数字の書き方にもルールが定められており、アラビア数字で記入するときはチェックライターを使用し、金額の頭には「¥」を、金額の終わりには「※」を印字すること。手書きで記入するときは、漢数字で書くこと。

ところで、金額欄に「金七万円也」と記入しておきながら、欄外にアラビア数字を複記していることがある。二つの数字が同じであれば問題はないが、「¥700,000―」などと金額欄と異なる数字が書かれていると、手形金をめぐって裁判になった場合、法律上は文字と数字とあるときは、文字で書いた金額が有効になり、一方、銀行では所定の金額欄に書かれた金額で取り扱い、責任は会社が持つというような規定になっているから注意する必要があるんだよ。」

 


リエ
「今まで、記載事項にもれや誤りがないかの確認などしていませんでした。ところで課長、手形に印紙が貼ってありますが、金額によって印紙税が違うのですか。」

旭課長
「手形金額が10万円未満の手形などの例外を除いて、手形は印紙税法によって課税文書とされており、手形金の額で貼るべき印紙の金額が違ってくる。印紙を貼り忘れた手形でも、その手形自体の効力には影響がないが、印紙税法上、罰則が科せられてしまうんだよ。

手形が銀行を通じて決済されるときには、印紙を貼った手形であることが求められるから、結局印紙は必要になることになるね。


印紙は原則として振出人が貼ることになっているんだよ。」


リエ
「振出人の代わりに印紙を貼った場合は、後から振出人に請求してもいいの。」

旭課長
「ああ、請求しても大丈夫だよ。」

リエ
「手形は現金での決済よりも手軽で便利ということで利用されていますが、反面、取扱いのちょっとしたチェックミスが大変なことになることもあるんですね。」