チップに税金はかかるのか?
   
作成日:04/01/2010
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■アメリカのチップ文化

「チップ文化」と言っても、食べるほうの「ポテト・・・」ではないですよ。
レストランやホテルでのサービスに対して、サービス料的に支払う「チップ」です。

日本にはほとんど無い文化なので、海外に行くと戸惑いますよね。
数少ない私の海外経験でも、うまくできず何とも歯がゆい感じがしたのを覚えています。

その頃から不思議だったことですが、さてこのチップ、もらった人に税金はかかるのでしょうか?

今日は、その話です。


■チップに対する税金

ずっと気になっていたのですが、前回の財務省の「税制メールマガジン」に「アメリカのチップに係る税金」と題して、その答えが書いてありました。

結論としては、給与収入などと同じように、チップに対して税金はかかるということです。
ちなみに税率は、アメリカでは10~35%の累進課税となっています。

更には、このチップには、日本の社会保険料に当たる「社会保障税(social security and Medicare taxes)本人負担分7.65%」もかかります。

アメリカでは、前1年の間に受け取ったチップの合計と、その他の給与収入等を合算して、原則翌年4月15日までに、各自で確定申告を行なうことになります。


■雇用主に報告義務有り、源泉対象

このチップについては、「内国歳入庁(IRS)は1つの職業につき1ヶ月に20ドル以上のチップを受け取った場合には、原則次の月の10日までに雇用主にその月のチップの総額を報告する必要がある」としています。

また、「雇用主がチップを含めた給与所得から個人所得税や社会保障税の源泉徴収をする」ことになります。

更には、「もし受け取ったチップを雇用主に報告しなかった場合には、ペナルティとして通常の税額に加えて50%の社会保障税が課される可能性がある」ようです。


■不正防止の仕組み

とはいえ、チップを日々もらってそれを毎日記帳するのは、なかなか大変そうですから、正直に報告しないのではないかという、懸念が生じますよね。

そこで内国歳入庁は、大規模レストランなどには、その雇用主に対して売上の一定額以上(原則:8%)をチップとして報告するように求めています。

もし、その額が従業員からの報告より多いのであれば、その差額は原則各従業員に割り当てられ、税金や社会保障税がかかることになります。

ちなみに、通常のチップが10~20%だそうですから、まぁ妥当な率でしょう。

最後に、チップにまつわるマニアックな税金の取扱い(日本)を1つご紹介しておきます。
 ↓
 
チップの支払

【照会要旨】
運転手や女中等に対するチップは、課税仕入れに該当するのでしょうか。

【回答要旨】
運転手や女中等に対するチップは、運送等の役務の提供の対価の支払とは別に支出するものであり、提供を受ける役務との間に明白な対価関係は認められませんから、課税仕入れに該当しません(法2八、十二)。

【関係法令通達】
 消費税法第2条第1項第8号、第12号