企業の2割強で残業時間80時間超~過労死白書
   
カテゴリ:労務
作成日:10/11/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 厚生労働省は7日、2014年11月に施行された過労死等防止対策推進法に基づき、「過労死等防止対策白書」を初めて公表した。厚労省は、労働・社会面からみた過労死等の状況を探るため、企業及び労働者を対象に2015年12月から2016年1月にかけて調査を実施している。その結果が白書に盛り込まれたが、過労死ラインとされる「月80時間超」の残業をした労働者がいる企業の割合が2割強となったことが明らかになった。

 調査結果(有効回答数1743社、労働者1万9583人)によると、時間外労働時間が最も長い月において、労災認定の目安となり「過労死ライン」とされる80時間を超える正社員がいる企業の割合は22.7%となった。業種別にみると、「情報通信業」が44.4%で最も多く、次いで「学術研究、専門・技術サービス業」(40.5%)、「運輸業、郵便業」(38.4%)、「複合サービス業」(34.2%)の順に多かった。

 残業が発生する理由としては、企業調査・労働者調査ともに、「業務量が多いため」、「人員が不足しているため」、「業務の繁閑の差が大きいため」などが多く挙げられている。業種別にみると、企業調査・労働者調査ともに、「情報通信業」はどの項目も概ね上位に入っており、「人員が不足しているため」と挙げる業種としては、「宿泊業、飲食サービス業」が最も多い(企業調査55.9%、労働者調査57.4%)。

 一方、労働者調査では、正社員の32.8%が残業での疲労の蓄積度が「高い・非常に高い」と回答。1週間に20時間以上残業がある正社員では72.5%にのぼる。また、正社員の36.9%が高いストレスを抱えていることも分かった。1週間に20時間以上残業がある正社員では54.4%が高いストレスを感じている。業種別では、「医療・福祉」(41.6%)や「サービス業」(39.8%)の正社員のストレスが高い。

 睡眠時間についても、正社員の31.3%が「どちらかといえば足りていない」、14.3%が「足りていない」と回答。睡眠時間が足りていない理由としては、「残業時間が長いため」との回答が36.1%と最も多いが、「その他家事労働(炊事・選択等)に要する時間が長いため」(27.5%)、「通勤時間が長いため」(18.7%)といった理由も一定の割合を占めている。

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