主要100信用金庫の約6割で「総資金利ざや」が縮小
   
カテゴリ:金融
作成日:10/14/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 東京商工リサーチが11日に発表した「主要100信用金庫の総資金利ざや調査」結果によると、2016年3月期決算における主要100信用金庫の「総資金利ざや」の中央値は0.13%だった。前年同期より0.1ポイント低下し、調査を開始した2011年3月期決算以降、地域に密着した信用金庫でも「総資金利ざや」の縮小に歯止めがかかっていないことが分かった。

 信用金庫の「総資金利ざや」は、貸出金や余裕金等の運用収益力を表す「資金運用利回り」から、預金などの資金調達コストを示す「資金調達原価率」を差し引いた数値。幅広い運用・調達全体の状況を利回りの差で表したもので、経営効率や全体の収益力をみる指標の一つ。この数値がプラスだと資金運用で収益を上げ、マイナスは「逆ざや」で貸出や運用で利益が出ていないことを示す。

 主要100信用金庫の2016年3月期決算で、「総資金利ざや」が前年同期より縮小したのは、55信金(構成比55.0%)になった。さらに、前年同期と同率の7信金を含めると、前年同期の「総資金利ざや」を上回らない信用金庫は62信金(構成比62.0%)にのぼった。一方、前年同期より「総資金利ざや」が拡大したのは38信金。個別では、鹿児島信用金庫の0.09ポイント拡大(0.32→0.41%)が最も大きい。

 「総資金利ざや」の分布では、「0.1%以上0.2%未満」が33信金で最多、次いで、「0.0%以上0.1%未満」の32信金。3月期決算の推移をみると、「0.0%以上0.1%未満」は2011年が12信金だったが、14年が約2倍増の22信金に達し、16年は2.6倍増の32信金に拡大した。このように、主要信用金庫では、金利低下や金融機関間の貸出競争により、銀行と同様に本業収益が低迷している現状が浮き彫りになった。

 主要100信用金庫の貸出金や余裕金等の運用収益力を表す「資金運用利回り」は、2016年3月期では93信金で前年同期より低下。「資金運用利回り」の分布をみると、「1.3%未満」が64信金、「1.3%以上1.4%未満」が20信金と続く。3月期決算の推移では、2011年には「1.5%以上2.0%未満」が74信金と最多だったが、その後は12年56信金、13年32信金、14年18信金、15年8信金と減少が著しい。

 同調査結果はこちら