銀行112行の中小企業等向け貸出金、前年同期比2.7%増
   
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作成日:09/09/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 東京商工リサーチが発表した「銀行112行の地方公共団体・中小企業等向け貸出金残高調査」結果によると、国内銀行112行の2016年3月期の貸出金のうち、地方公共団体向け貸出残高が28兆3708億円で前年同期比3.3%増と、6年連続で増加、また、中小企業等向け貸出金残高は292兆8891億円で同2.7%増と、3月期では5年連続で前年同期を上回り、102行(構成比91.0%)が前年同期より貸出を伸ばした。

 112行の2016年3月期の総貸出金残高は429兆6266億円で、地方公共団体向け貸出は全体の6.60%(前年同期比0.05ポイント増)、中小企業等向け貸出は同68.17%(同0.14ポイント増)と、それぞれ前年同期を上回った。地方公共団体向け貸出の構成比は、3月期では調査以来、最大となった。中小企業等向け貸出比率トップはスルガ銀行の95.9%、南日本銀行93.5%、大正銀行93.1%と続く。

 銀行112行のうち、地方公共団体向け貸出が前年同期を上回ったのは71行(構成比63.3%)だった。内訳は大手2行、地銀41行、第二地銀28銀行。地方公共団体向け貸出比率が前年同期を上回ったのは57行(同50.8%)で、前年同期4行増加した。貸出比率のトップは、青森銀行の34.1%で、2年連続でトップ。次いで、北都銀行32.1%、北洋銀行25.1%、岩手銀行23.8%、福島銀行23.3%の順だった。

 本店所在地の地区別では、地方公共団体向け貸出残高は、東京、北陸、四国を除く7地区で増加。増加率は中国の7.8%増、貸出比率は北海道の23.5%がトップ。中小企業等向け貸出残高は10地区すべてで前年を上回った。増加率は、九州の6.0%増を最高に、中国4.8%増、東北4.2%増、関東と中部が各3.9%増と続く。北海道、関東、中部、近畿、中国の5地区では、地方公共団体向け貸出の増加率が中小企業等向けを上回った。

 2016年2月、日本銀行がマイナス金利を導入以降、銀行間の低金利競争は熾烈さを増している。今回の調査で貸出金の伸び率は地方公共団体向けが中小企業向けを上回り、中小企業の資金需要の低迷と貸倒リスクを避ける銀行の姿勢も鮮明になった。また、中小企業等向け貸出は、医療・介護と不動産業が突出し、卸売業は減少に転じており業種間での二極化も広がっている。

 同調査結果はこちら