過去最多の57社が「不適切な会計・経理」を開示
   
カテゴリ:経営
作成日:03/22/2017
提供元:21C・TFフォーラム
  


 東京商工リサーチが発表した「2016年全上場企業の不適切な会計・経理の開示企業調査」結果によると、2016年の不適切会計の開示企業は57社(58件)で、これまで最多だった前年を社数で5社(9.6%)、件数で5件(9.4%)上回った。社数は2013年から4年連続で増加をたどり、社数・件数とも調査を開始した2008年以降の最多記録を更新。2008年の25社(25件)に比べ、2016年は2.2倍増と急増している。

 2016年に社数、件数とも最多を記録した背景には、2015年5月に発覚した東芝の不適切会計を契機に、監査の信頼性確保が強く求められたこともある。東芝の不適切会計が発覚し、開示資料の信頼性確保や企業のガバナンス強化の取組みを求める声が高まった。金融庁と東京証券取引所は上場企業が守るべき行動規範の策定を進め、2015年6月に「コーポレートガバナンス・コード」を公表し、関係各所の体制強化を求めている。

 内容別では、経理や会計処理ミスなどの「誤り」が25件(構成比43.1%)を占めて最多、次いで、「売上の過大計上」や「費用の繰延べ」など、営業ノルマ達成を推測させる「粉飾」が24件(同41.4%)、「着服・横領」が9件(同15.5%)だった。「粉飾」では、子会社・関係会社間での売上の過大計上や売上原価の先送りなど、業績目標を達成するために意図的に操作されたケースもある。

 発生当事者別でみると、開示当事者の「会社」が27社(構成比47.4%)、27件(同46.6%)で最も多かった。内容では、開示当事者が会計処理手続きの誤りや事業部門で売上の前倒し計上、売上原価の先送りをしたケースなどがあった。「子会社・関係会社」は、24社(同42.1%)、25件(同43.1%)。「会社」と「子会社・関係会社」を合わせると51社(52件)で、社数・件数ともに全体の約9割を占めた。

 業種別では、「製造業」の15社(構成比26.3%)、16件(同27.6%)が最も多かった。次いで、「運輸・情報通信業」の10社(同17.5%)、10件(同17.2%)。製造業は、国内外の子会社、関連会社による製造や販売管理の体制不備に起因するものが多い。運輸・情報通信業では、ソフトウェア関連企業で不明瞭な外部取引により費用が過大に計上されたケースなどがあった。

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