1~9月の老人福祉・介護事業の倒産、年間最多を更新
   
カテゴリ:経営
作成日:10/12/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 東京商工リサーチが発表した老人福祉・介護事業の倒産状況によると、2015年4月の介護報酬改定から1年が経過したが、2016年1~9月の「老人福祉・介護事業」倒産が累計77件(前年同期比35.0%増)に達した。2000年1月から調査を開始して以来、最多だった前年(1~12月)の76件を上回り、すでに9月時点で年間最多記録を更新した。このままの水準で推移すると年間100件を超える可能性も出てきた。

 77件のうち、負債5千万円未満の小・零細規模が68.8%、設立5年以内が46.7%を占め、小規模かつ新規事業者を中心に倒産を押し上げている。また、事業計画が甘い安易な起業だけでなく、本業不振による異業種からの参入や過小資本のFC加盟社などの倒産も発生している。業界の大きな課題となっている介護職員の人手不足の解消が難しい中で、成長産業として注目されてきた老人福祉・介護業界に淘汰の動きも出てきた。

 負債総額も82億9600万円(前年同期比62.7%増)と前年同期を上回った。負債10億円以上が2件(前年同期ゼロ)に対し、負債5千万円未満は53件(同39.4%増)と大幅に増え、倒産は小規模事業者を中心にしている。業種別では、施設系のデイサービスセンターを含む「通所・短期入所介護事業」と「訪問介護事業」が各32件(各同39.1%増)と前年同期を上回ったほか、「有料老人ホーム」が7件(同250.0%増)発生した。

 2011年以降に設立された事業者の倒産が36件(構成比46.7%)と半数近くを占め、設立から5年以内の新規事業者が目立った。従業員数別では、5人未満が53件(前年同期比39.4%増)と大幅に増え、小規模事業者の倒産が全体の約7割(構成比68.8%)を占めた。このように、小規模で、参入間もない新規事業者の倒産が増えて件数を押し上げている。

 原因別では、販売不振が51件(前年同期比104.0%増)で、2倍増となり同業他社との競争の激しさを物語った。次いで、事業上の失敗が10件、設備投資過大が5件の順。  販売不振が全体の約7割を占めたが、安易な起業だけでなく本業不振のため異業種からの参入失敗(6件)や過小資本でのFC加盟(3件)など、事前準備や事業計画が甘い小・零細規模の業者が想定通りに業績を上げられず経営に行き詰ったケースが多い。

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