投資有望国1位は3年連続で「ベトナム」~日本公庫
   
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作成日:10/19/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 日本政策金融公庫が海外に現地法人を有する取引先企業を対象に6月に実施した「取引先海外現地法人の業況調査」結果(有効回答数649社)によると、ASEANは、直近決算期の損益が「黒字」の企業割合が前回調査の47.1%から40.2%に減少するなど足元の損益は悪化の傾向にある。前期決算の損益との比較は、「改善」が46.3%で同1.2ポイント増加した一方、「悪化」も31.6%で4.2ポイント増加している。

 今後の予想売上高について「増加」と答えた企業割合は前回調査の49.6%から51.2%へとわずかに上昇も、当面の経営方針で「事業拡大」は56.1%から54.3%に減少し、資金調達を予定している企業も25.6%から23.1%に減少するなど、投資に慎重な姿勢がうかがえる。そんな中、インドネシア(32.1%)は前回から11.4ポイント上昇し、ベトナム(32.5%)と並んで資金導入予定企業は高い水準となっている。

 一方、中国は、足元の損益は比較的堅調に推移しているものの、最近の景気減速の影響を受けて、予想売上高が「増加」と答えた企業の割合は前回調査の41.8%から38.6%に減少している。また、当面の経営方針で「事業拡大」と答えた企業の割合は37.0%から33.0%に減少し、資金調達を予定している企業の割合も16.7%から10.9%に減少するなど、引き続き非常に低い水準となっている。

 中期的な投資有望国(中期的な事業展開先)については、3年連続で「低廉豊富な労働力」等を背景にベトナムが1位となった。タイ、中国など他国に既に進出している日系企業からも、次なる投資先として引き続き高い支持を得ているようだ。ベトナムを選んだ理由(3つまで選択)は、「労働力が低廉豊富」(55.8%)、「既存取引先が既に進出」(36.0%)、「現地市場の将来性が高い」(36.0%)などが挙げられている。

 TPPの今後の業績への影響については、TPP参加国であるベトナム、マレーシアは「良い影響あり」と回答した企業がそれぞれ47.5%、36.4%と、第三国向け輸出の増加などTPPのもたらすメリットに対する期待が大きくなっている。TPPについて予想される良い影響(3つまで回答)は、全体では「第三国向け輸出の増加」が69.2%と突出し、次いで「第三国からの輸入(調達)コストの低下」(31.8%)が続く。

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