本社移転、1都3県への転入超過が依然として続く
   
カテゴリ:経営
作成日:10/31/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 帝国データバンクが27日に発表した「1都3県・本社移転企業調査」結果によると、1都3県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)から移転した企業の1991年以降の推移をみると、1都3県への転入企業は90年代を通じて増加傾向で推移しており、2003年以降は概ね300件前後で続き、2016年(1月~9月)は他の道府県から1都3県に225件移転していることが判明した。

 一方、1都3県から転出した企業について1991年からの推移をみると、1都3県から転出する企業数は景気の波など景気変動に影響を受けていることが判明。景況感が悪化すると1都3県から転出する企業数が多くなっている。そうしたなか、2016年9月までの転出企業は164件で前年の同時期と比較して18件(9.9%)減少しており、年間でもピークだった2001年(316件)の概ね3分の2の水準にとどまるとみられる。

 また、1都3県への転入企業は、2003年からほぼ一貫して転出企業を上回っており(2009年・2010年を除く)、特に、2015年は転入企業335件、転出企業231件で、1991年以降で最大となる104件の転入超過となった。2016年においても、1月~9月は転入企業が転出企業を上回る状況が続いており、6年連続で転入超過になると見込まれている。

 安倍政権への交代以降、景況感はアベノミクス効果でいったん好転するも、消費税8%への引上げ以降、再び低調な状況で推移している。2016年も転入超過が継続するとみられる背景には、優秀な人材を確保するために労働力人口が集中する立地を選択する企業の経営戦略があると考えられ、近年課題となっている「人材不足」問題が企業移転トレンドに影響を及ぼしているとみられている。

 2016年9月までに1都3県へ移転した企業の転入元を道府県別にみると、「大阪府」が53件(構成比23.6%)で突出して最も多く、次いで、「愛知県」(20件)、「北海道」(17件)、「静岡県」(16件)、「福岡県」(12件)が上位5位となった。大都市を抱える地域や近接地など、上位5道府県からの移転が半数以上を占めた。2015年と比較すると、1都3県に転入する地域が前年より集中している様子がうかがえる。

 一方、2016年9月までに1都3県から転出した先で最も多かった地域は「茨城県」の22件(構成比13.4%)、以下、「静岡県」(16件)、「大阪府」(15件%)、「群馬県」(12件)、「愛知県」(10件)と続き、上位5府県への転出が全体の45.7%を占めた。2015年と比較すると、茨城県への転出が2016年9月までの9ヵ月間で前年を上回るなど、移転先の集中も進んでいることがうかがえる。

 同調査結果はこちら