厚労省、監督指導した事業場の56%で違法な時間外労働を摘発
   
カテゴリ:労務
作成日:04/04/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 厚生労働省は1日、平成27年4月から12月までに8530事業場に対して実施した、長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署による監督指導の実施結果を取りまとめ公表した。この監督指導は、昨年1月から労働基準監督署が実施しているもので、1ヵ月当たり100時間を超える残業が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があった全ての事業場を対象としている。

 この結果、昨年4月から12月に監督指導を行った8530事業場のうち、約56%に当たる4790事業場で違法な時間外労働を確認、是正・改善に向けた指導を行った。業種別では、「製造業」が1510事業場と約32%を占めて最も多い。これらの事業場に対しては、是正・改善状況の確認を行い、是正が認められない場合は書類送検も視野に入れて対応するなど、引き続き、長時間労働の削減に向けた積極的な対応を行っていくという。

 4月から12月までの間に違法な時間外労働があった4790事業場のうち、時間外労働の実績が最も長い労働者の時間数が「1ヵ月当たり100時間を超えるもの」が2860事業場(59.7%)で、うち「1ヵ月当たり150時間を超えるもの」が595事業場(12.4%)、うち「1ヵ月当たり200時間を超えるもの」が120事業場(2.5%)、うち「1ヵ月当たり250時間を超えるもの」が27事業場(0.6%)だった。

 違法な時間外労働時間以外に、賃金不払残業があったものが813事業場(9.5%)あり、うち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が「1ヵ月当たり100時間を超えるもの」が362事業場(44.5%)だった。そのほか、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが1272事業場(14.9%)あり、この結果、監督指導を実施した8530事業場のうち、約76%に当たる6510事業場で労働基準関係法令違反が認められた。

 なお、過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したものは6971事業場(81.7%)、うち、「時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの」が5167事業場(74.1%)。また、労働時間の把握方法が不適正なため指導したものが1558事業場(18.3%)、うち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が「1ヵ月当たり100時間を超えるもの」が477事業場(30.6%)だった。

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