経団連、企業年金税制に関する重点要望を公表
   
カテゴリ:税務
作成日:10/22/2013
提供元:21C・TFフォーラム
  


 わが国の企業年金は現在、1600万人を超える加入者を有し、公的年金を補完しつつ、従業員の退職後の所得確保に大きな役割を担っている。日本経団連はこのほど、公的年金の給付水準が、今後、少子高齢化の進展とともに、抑制せざるを得ないなかで、自助努力の仕組みとして企業年金の果たす重要性がますます高まるものとの考えから、「企業年金税制に関する重点要望」を公表し、税制上の見直し措置を求めた。

 同要望は、1)企業年金積立金に対する特別法人税の撤廃、2)確定拠出年金に係る税制改正、を掲げた。特に、確定拠出年金は、企業の国際競争力強化に向けた機動的な組織再編の促進、雇用の流動化や就業形態の多様化等への対応から導入・拡充のニーズが高まっているにもかかわらず、依然として税制上の制約が厳しいことから、大幅な改正を求めている。新たに企業年金を導入する企業が増える環境整備を図るべきとしている。

 具体的には、1)拠出限度額の大幅な引上げ、2)拠出限度額内でのマッチング拠出の完全自由化、3)中途引き出し要件の緩和、を要望。確定給付企業年金(DB)には拠出限度額の制約がない一方、確定拠出年金(DC)の掛金拠出は、企業型・個人型で4つの限度額があり、大きな制約となっており、現在の拠出限度額では、DC中心の退職給付制度の構築は困難として、拠出額の大幅な引上げを求めている。

 次に、従業員本人の掛金額は、事業主掛金を超えてはいけない厳しい制約が設けられており、事業主掛金が少額にとどまる場合は、自助努力による積立増を阻害するとして、拠出限度額内でのマッチング拠出を完全自由化すれば、従業員にとってのDC加入のメリットが増す。また、DCの中途引き出し要件を緩和し、退職金と同様に、退職した時点での受取も可能とすれば、労使双方からみたDCの魅力が増すと指摘している。

 企業年金積立金に対する特別法人税については、来年3月末で課税凍結期限切れとなるが、特別法人税が課税された場合、毎年積立金を毀損し、企業年金の安定的な運営に悪影響があり、将来の年金給付額は、特別法人税が復活すると、20%減少(毎月1万円を25年間積み立てた場合、月3.9万円→3.13万円)するとの試算を示し、企業年金積立金に対する特別法人税の撤廃を求めている。

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