インバウンドの来訪客の増加人数は大阪が実質トップ
   
カテゴリ:その他
作成日:02/16/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 観光庁によると、2015年に日本を訪れたインバウンド(訪日外国人旅行)は1974万人と、2千万人に迫る規模となり、前年比で47.1%の増加、人数で632万人の増加となった。りそな総合研究所が発表した2015年のインバウンドの来訪状況によると、都道府県別にみたインバウンドの来訪数の前年からの増加数は、「千葉」が720万人でトップ、「大阪」(343万人)、「東京」(338万人)、「京都」(188万人)が続く。

 これは、各地域へのインバウンドの来訪率をもとに推計したものだが、「千葉」の1位は来訪率の集計方法が変更されたもので、2014年からの連続性はなく、実質的な1位は「大阪」とみられる。もちろん増加数での順位であるため、もともと来訪規模の大きな府県が有利だが、増加率でも「大阪」の91.7%増を筆頭に、「兵庫」(55.8%増)や「奈良」(55.7%増)など関西の府県は軒並み全国平均(47.1%)を上回っている。

 2015年のインバウンドについては、2月の春節などを中心に、中国人客の急増がけん引したことは間違いない。中国人客の前年からの増加数が多い都道府県をみると、前年比で100%以上の増加、つまり2倍以上に増えた地域が大半となっている。特に、「奈良」(237.4%増)や「沖縄」(202.9%増)は3倍以上、「大分」(279.9%増)や「新潟」(280.1%増)は4倍以上と、大幅な増加となっている。

 中国人客については年後半を中心に減速が伝えられ、先行きの不透明感が強まっており、中国人客への依存度が高い地域は、今後の推移を少し慎重にみる必要が出てくる。各地域における中国への依存度(2015年のインバウンドに占める中国の割合)をみると、最も依存度が高いのは「中部」(72.6%)であり、「東北」、「近畿」、「関東」も50%以上となっており、これらの地域は、今後の推移に対して、少し警戒する必要があるといえる。

 ただし、減速の影響が懸念された昨年後半以降も、中国人客は前年比で1.5倍以上の増加が続いており、今のところは大幅な悪化が懸念される状況ではない。注意が必要なのは、中国経済の減速が予想以上に進んだ場合。中国経済の減速はアジア全体の景気悪化につながりやすく、インバウンドが大幅に減少する可能性もある。さらに、金融市場での中国の減速が円高につながることになれば、さらに減少しやすくなることに注意が必要としている。

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