消費増税、価格転嫁率50%でも大半で赤字必至
   
カテゴリ:税務
作成日:02/25/2014
提供元:21C・TFフォーラム
  


 今年4月に控える消費税の増税に伴い、消費動向や企業業績に変化が生じるのではないかとの懸念の声は絶えない。特に小売・サービス業の各企業においては、価格転嫁や販管費の圧縮など、業績の変動に備えた経営施策の実行が急がれるなか、長引く不況に伴う財務体質の悪化から、十分な体制を取れないままの中小企業も少なくないと言われる。

 そこで帝国データバンクでは、同社保有の企業財務データベースCOSMOS1(72万社・480万期収録)をもとにした『全国企業財務諸表分析統計 第56版』、平成7年以降の「家計調査」(総務省)、平成24年「経済センサス」(総務省・経済産業省)を用いて、小売・サービス6業種について消費税の増税が純粋に企業業績に与える影響度を分析した。なお、同様の調査は今回が初めて。

 その結果、価格転嫁率50%でも大半で赤字必至なことや、消費減退による売上減は1~2%と予想されることが分かった。業種別にみると、「自動車小売」は、増税による消費減退率は▲0.16%と僅少にとどまる予想、「菓子・パン小売」(消費減退率0.86%)は、消費は上向く予想も、価格転嫁0%なら大幅赤字、「外食(酒場等除く)」は、消費減退率が▲1.62%と大きく、100%転嫁でも営業利益は5分の1に減少。

 さらに、「酒場等」は、消費減退率は▲2.18と6業種中最大であり、価格転嫁・値上げは必至と予想、「男子服小売」は、消費減退率は▲1.48%と大きいものの、価格転嫁50%でも黒字確保が可能、「婦人・子供服小売」は、消費減退率は▲0.80%と男子服の半分も、価格転嫁ラインに厳しさがある、などと分析している。

 帝国データバンクは、「今回の分析対象は、消費者にもっとも近い小売・サービス業者であり、比較的価格転嫁も実施し易い側面がある一方、価格転嫁の難しい川上の下請け・製造業者などは、より消費税増税の影響が色濃くなるとみられる。国内産業を支える中小企業の業績悪化が景気回復の腰折れ要因となることも考えられ、引き続き動向には注目していく必要がある」とコメントしている。

 同分析結果の詳細はこちら