「消費増税待ったなし」~丸紅経済研究所
   
カテゴリ:税務
作成日:09/17/2013
提供元:21C・TFフォーラム
  


 丸紅経済研究所が景気動向レポートの中で「消費増税は待ったなし」との主張を掲げている。日本の国・地方の長期債務残高(借金)は2013年度末で約977兆円となり、対GDP比では200%に達する見込み。借金は年30~40兆円ペースで増加しており、プライマリーバランスは20年以上マイナスの状態が続いている。6月末時点での「国の借金」は1008兆6218億円となり、とうとう1千兆円の大台を突破した。

 年々増え続ける借金に対して返済の目途が立たず、国際的な懸念も高まりつつあるが、日本には約630兆円の資産があるため、いざとなれば資産を売却することで借金返済は容易であるとの主張がある。しかしながら、日本の資産の大半は年金積立金の運用預託金や道路・堤防等の公共用財産等であり、性質上すぐに売却することができないため、借金返済のために資産売却するという選択肢は現実的でないといえる。

 増大する借金に対策を打たず、財政再建の先送りを続ければ、日本国債は国際的な信用力を失い、金利上昇及び国際価格の下落を招きかねない。その場合、経済の混乱は必至。このような事態を避けるためにも、借金返済、財政再建は日本にとって急務となる。想定される借金の返済手段には、「成長(税収増)」、「歳出削減」、「消費増税」の3つがあり、これら全てを速やかに実現する必要があるが、目先すぐに事を運べるわけではない。

 まず、「成長(税増収)」では、少ない痛みで借金を返していける可能性があるが、確かな先行きを見通すことは難しく、これのみに頼ることは現実的ではない。次に、「歳出削減」では、社会保障関係費(歳出)の抜本的な削減が必要となる。制度疲労が著しい社会保障制度の改革は不可避であり、財政赤字の削減効果は大きいが、少子高齢化が進むなか、幅広く国民(高齢者)から支持を得ることは困難であり、政治的なハードルは高い。

 したがって、何はともあれ、「消費増税」を実施せざるを得ない。日本の消費税率は他の先進国、新興国と比べると低く、引上げ余地が大きい。消費税は高齢者まで幅広く課税できるため、社会保障制度の深刻な問題である世代間格差の解消にも一定の役割が期待できる。増税によって深刻な景気後退を招くような事態は避けなければならないが、財政再建のための消費増税は待ったなしといえる。これが、丸紅経済研究所の主張である。

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