個別労働紛争相談、「いじめ・嫌がらせ」が4年連続トップ
   
カテゴリ:労務
作成日:06/10/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 厚生労働省が8日に発表した平成27年度における同制度の施行状況によると、労働基準法上の違反を伴わない解雇、労働条件の引下げなどの民事上の個別労働紛争に係る相談件数は、前年度比2.6%増の約24.5万件で4年ぶりに増加し、高水準で推移している。個別労働紛争処理制度は、個々の労働者と事業主の紛争を、裁判に持ち込まず紛争当事者間で自主的かつ迅速な解決を図る制度。

 全国381ヵ所に設けられた総合労働相談コーナーに寄せられた労働相談は、平成27年度1年間で前年度比0.2%増の103万4936件と8年連続で100万件を超えた。このうち、民事上の個別労働紛争に関するものは2.6%増の24万5125件。内容別では、「いじめ・嫌がらせ」が22.4%を占めて4年連続トップ、「解雇」が12.7%、「自己都合退職」が12.7%で続いた。

 前年度と比べると、「いじめ・嫌がらせ」が7.0%増、「自己都合退職」も8.7%増えたが、4年前までトップだった「解雇」は3.0%減と減少傾向にあり、「労働条件の引下げ」も5.8%減少した。相談者は、労働者が82.0%と大半を占め、事業主からの相談は10.0%。労働者の就労形態は、「正社員」が37.8%、「パート・アルバイト」16.3%、「期間契約社員」10.5%、「派遣労働者」4.3%となっている。

 一方、自主的な紛争解決が難しい場合は、弁護士などの有識者で構成された紛争調整委員会にあっせんを申請できるが、平成27年度のあっせん申請件数は前年度比4.7%減の4775件だった。処理状況をみると、手続きを終了した4679件のうち、「合意が成立」が39.3%、申請者の都合による「申請取下げ」が4.7%、紛争当事者の一方が手続きに参加しないなどの理由による「あっせんの打ち切り」が56.0%だった。

 平成27年度内に処理した4679件のあっせんのうち、「1ヵ月以内」に処理したものが45.2%、「1ヵ月超2ヵ月以内」が44.9%と、2ヵ月以内に9割が処理されている。あっせんの申請者は、労働者が98.1%と大半を占め、事業主からの申請は1.7%、労使双方からの申請は0.2%。労働者のうち47.6%は「正社員」だが、「パート・アルバイト」(19.9%)や「期間契約社員」(20.3%)も合計でほぼ4割を占める。

 平成27年度個別労働紛争解決制度施行状況の詳細はこちら