26年度のサービス残業、過去最多の20万人超
   
カテゴリ:労務
作成日:03/24/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 厚生労働省がこのほど発表した監督指導による賃金不払残業の是正結果によると、平成27年3月までの1年間(平成26年度)にサービス残業をした従業員が過去最多の20万人超にのぼることが分かった。これは、全国の労働基準監督署が、平成26年度に、定期監督及び申告に基づく監督等を行い、不払いになっていた割増賃金が支払われたもののうち、その支払額が1企業当たり合計で100万円以上となった事案を集計したもの。

 集計によると、平成26年度に残業代や休日出勤の割増賃金を従業員に支払わず、サービス残業をさせたとして労基署の是正指導を受け、100万円以上の割増賃金を支払った企業は前年度に比べ88社減の1329社だった。支払われた割増賃金合計額は同19億378万円増の142億4576万円だった。対象となった従業員は同8万8627人増の20万3507人で、平成14年度の調査開始以来、過去最多となった。

 業種別でみると、是正指導が最も多かったのは「製造業」の327社(構成比24.6%)で対象従業員は3万471人、支払合計額は34億6131万円。次いで「商業」の285社(同21.4%)、同2万5610人、33億5714万円、「保健衛生業」の147社(同11.1%)、同1万5932人、11億2594人と続く。対象従業員数では、飲食店などの「接客娯楽業」(89社)が10万477人と全体の約半数を占めて最多だった。

 支払われた割増賃金額の平均額は1企業当たり1072万円、従業員1人当たり7万円。また、割増賃金を1000万円以上支払ったのは196社で全体の14.7%、その合計額は109億7010万円で全体の77.0%を占めた。平均額は、1社当たり5597万円、従業員1人当たりでは7万円と少ない。これは、わずか9社で支払額は全体の約5%に過ぎない「接客娯楽業」が対象従業員では9万8887人と6割強を占めた結果といえる。

 なお、平成17年4月から平成27年3月までの10年間における状況をみると、是正企業数は合計1万4426社、対象従業員数は合計147万5680人、是正支払額は合計1684億3677万円。支払われた割増賃金額の企業平均は1168万円、従業者平均は11万円となる。そのうち、1社で1000万円以上の割増賃金が支払われた事案(合計2179社)をみると、企業平均は5849万円、従業員平均は14万円だった。

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