銀行の中小企業向け貸出金、9割が前年同期より増加
   
カテゴリ:金融
作成日:09/18/2015
提供元:21C・TFフォーラム
  


 銀行112行の2015年3月期の中小企業等向け貸出金残高は285兆1418億円だったことが、東京商工リサーチがこのほど発表した「地方公共団体・中小企業向け貸出金残高調査」結果で分かった。前年同期(278兆3274億円)より2.4%(6兆8143億円)増加し、3月期としては4年連続で増加した。銀行112行のうち101行(構成比90.1%)と、9割の銀行が前年同期より貸出を伸ばしている。

 中小企業等向け貸出金残高は、「三井住友銀行」が33兆4985億円(前年同期比1.2%増)でトップ。次いで、「三菱東京UFJ銀行」が33兆4871億円(同0.9%減)、「みずほ銀行」が30兆5123億円(同0.7%増)、「りそな銀行」が15兆858億円(同3.1%増)、「横浜銀行」が7兆8971億円(同2.6%増)の順だった。貸出金残高1兆円以上は64行で、前年同期より1行増加した。

 総貸出残高に占める中小企業等向けの貸出比率は平均68.0%。前年同期より0.1ポイント増加し、2011年3月期以来、4年ぶりに貸出比率が上昇。112行のうち中小企業等向け貸出比率が前年同期を上回ったのは51行で、前年同期より3行減少した。中小企業等向け貸出比率のトップは「スルガ銀行」の95.3%、次いで、「大正銀行」93.7%、「南日本銀行」93.4%と続く。

 本店所在地で分けた10地区別では、「北海道」を除く9地区で前年同期を上回った。増加率は、「九州」の6.5%増がトップ、「中国」4.8%増、「関東」4.2%増と続く。貸出比率では、「近畿」の78.7%、「関東」76.5%、「中部」74.0%と続く。貸出金が前年同期を下回った北海道は、「北海道銀行」が1兆9095億円で前年同期比1.8%増えたが、「北洋銀行」が3兆3963億円で同3.6%減少したことが影響した。

 金融庁は金融機関に中小企業向け貸出を促し、大手行、地方銀行、第二地銀ともに中小企業等向け貸出金を伸ばしている。しかし、貸出金に占める割合は、地方銀行が伸ばす反面、大手行、第二地銀が縮小するなど、業態によって温度差が生じている。中小企業の成長には、財務内容だけでなく、「目利き力」など中小企業のキラリと光る魅力を見抜く力も欠かせない。今、金融機関の審査能力が改めて強く問われている。

 同調査結果はこちら