2015年上半期の新規上場会社数は65%増の43社
   
カテゴリ:金融
作成日:07/27/2015
提供元:21C・TFフォーラム
  


 KPMGがこのほど発表したIPO(新規上場)レポートによると、2015年上半期の新規上場会社数は、前年同期比約65%増(+17社)の43社となり、四半期ベースの新規上場会社数は20社を超えるペースで推移している。IPO市場が低迷していた2011年の四半期ベースの新規上場会社数が一ケタで推移していたことからすると回復感が顕著になった。これで、同期比較としては、2009年以来6年連続で増加した。

 株式市場では、主要国の金融緩和を背景に潤沢な投資資金が日本市場に流入。日本企業の自己資本利益率(ROE)の改善や賃上げの取組みを評価するなか、約7年10ヵ月ぶりのドル高円安水準を受けて、日本企業の業績拡大期待が高まり、東証一部の時価総額は1989年以来となる600兆円を超える場面もあった。また、未上場ベンチャー企業には、多額の資金調達を実施する事例も目立ち、新規上場を目指す経営者の裾野が広がっている。

 他方で、新規上場から間もない時期に会計不祥事や業績の下方修正の頻発を重く受け止めた日本取引所グループは、今年3月に新規上場に関する規制強化を公表するなど、上場を目指す企業においては、なお一層の内部管理体制の強化が求められる。また、市場別の新規上場会社数は、東証マザーズが21社増の31社に伸ばし、前年同期比較では、1999年の市場創設以来、最大となった。他方で、東証一部は4社減の1社となった。

 新規上場会社43社を業種別にみると、上位3業種は、引き続き、「情報・通信業」(12社)、「サービス業」(10社)、「小売業」(7社)となり、この3業種で約3分の2を占めた。また、新規上場時の初値状況をみると、「平均初値騰落率(対公募価格比で算出)」は80.9%、「最高騰落率」は350.0%、「最低騰落率」は▲23.6%のほか、「公募価格割れ」が3社あった。

 新規上場会社の監査法人は、「新日本有限責任」が14社(シェア32.6%)で最も多く、次いで、「有限責任あずさ」が10社(同23.3%)、「有限責任トーマツ」が9社(同20.9%)、「東陽」が3社(同7.0%)と続く。また、会社設立後の経過年数をみると、「5~10年」と「10~15年」がともに11社で最多、次いで「~5年」と「30年~」がともに7社で続き、最短は2年1ヵ月、最長は71年8ヵ月だった。

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