「新事業育成資金」の上半期実績が過去最高に~日本公庫
   
カテゴリ:金融
作成日:10/29/2015
提供元:21C・TFフォーラム
  


 日本政策金融公庫は28日、中小企業事業の特別貸付制度「新事業育成資金」の平成27年度上期の融資実績が、584社・238億円といずれも過去最高となったことを発表した。「新事業育成資金」は、高い成長性が見込まれる新たな事業へ取り組む中小・ベンチャー企業を支援する特別貸付制度であり、同資金制度を活用して成長し、株式公開に至る企業も出てきている。

 平成26年度実績(907社・478億円)は、景気回復基調が続くなか、売上拡大を見込んだ中小・ベンチャー企業における新事業への挑戦意欲の高まりなどにより、平成12年の制度創設以来過去最高となっていたが、今期上半期においてもその流れは変わらず、平成26年度上半期(457社・232億円)を超える実績となっている。

 新事業育成資金利用企業の株式公開事例として、医薬品製剤製造業の「サンバイオ株式会社」(東京都中央区)がある。同社は、再生細胞薬の研究、開発、製造及び販売を手掛ける再生細胞事業を展開するベンチャー企業で、東京を本社とし、米国のサンフランシスコに研究開発の主たる拠点を構えている。健常者の骨髄液を使った、同社グループ独自の再生細胞薬である「SB623」など脳梗塞治療薬等の開発を行っている。

 「SB623」は、米国子会社ではすでに慢性期脳梗塞を対象とした第ⅠⅠ相試験の段階に入っており、さらに、外傷性脳損傷を対象とした第ⅠⅠ相臨床試験も開始されている。日本公庫は、脳梗塞疾患から外傷性脳損傷や加齢黄斑変性症等他のプログラムへの適応拡大を図るなど、同社の事業を加速させるために必要な資金として、平成26年8月、新事業育成資金3億円の融資を実施。平成27年4月8日、東京証券取引所マザーズ市場に上昇を果たしている。

 日本公庫中小企業事業では、平成27年4月、地域のベンチャー企業等の支援を一層強化するため、東京に「東日本新事業・ベンチャー支援センター」、大阪に「西日本新事業・ベンチャー支援センター」を新設し、担当者を増員している。今後も、「新事業育成資金」を活用した、高い成長性が見込まれる新事業に取り組む中小・ベンチャー企業を積極的に支援していくという。

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