実質成長率は16年度0.4%、17年度0.9%と予測
   
カテゴリ:その他
作成日:08/23/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 信金中央金庫が発表した経済見通しによると、実質成長率は2016年度0.4%、17年度0.9%と予測した。16年4~6月の実質GDPは前期比0.0%増(年率0.2%増)となった。個人消費は前期比0.2%増と2四半期連続でプラス。住宅投資は低金利効果で5.0%増加。一方、設備投資は0.4%減と2四半期連続で減少。新興国経済の停滞を受けて輸出が1.5%減となり、純輸出は実質成長率を0.3ポイント押し下げた。

 2016年4~6月の実質成長率は前期比年率で0.2%増と小幅なプラスにとどまったとはいえ、うるう年に伴う日数増効果で押し上げられた1~3月との比較であることを考慮すると底堅い結果だった。ただ、世界経済の先行き不透明感の高まりを背景に、企業の投資マインドは慎重化している。今後は景気対策の効果が景気の底上げに寄与しようが、景気回復テンポは今後も緩やかにとどまると予想している。

 前回の経済見通し(5月時点の予測値)で前提としていた消費税増税が先送りされることとなったため、5月に公表した経済見通しを見直した。増税延期に伴って駆込み需要の影響を削除したことで、今回の経済見通しでは、2016年度の実質成長率を前回想定していた0.9%から0.4%に下方修正した。ただ、消費税増税の影響が先送りされる17年度については、実質成長率を0.1%から0.9%へ上方修正した。

 日銀は7月28~29日の金融政策決定会合で、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のうち、ETFの増額など質的緩和の一部を強化した。追加緩和は想定内の結果だったが、日銀が物価動向や政策効果の「総括的な検証」を行うと表明したことで、金融市場では、政策の枠組みが見直しを示唆するものと受け止められ、巨額の国債購入やマイナス金利政策が軌道修正されるとの見方から国債を手放す動きが加速するなど、不安が高まっている。

 実際、金融市場では、金融緩和政策が限界点に近づいたとみる向きも少なくないが、日銀がマイナス金利を含めた現行の金融政策を引締め方向に転換するとは考えにくい。物価目標の達成が遠のきデフレ脱却に向けた期待が後退しているうえ、円高圧力も依然として根強いだけに、マイナス金利を深堀りするなど、金融緩和策がもう一段強化される可能性は残っているとみている。

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