全国第三セクター鉄道63社の半数が経常赤字
   
カテゴリ:経営
作成日:10/26/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 東京商工リサーチがこのほど発表した「2015年度全国第三セクター鉄道63社の経営動向調査」結果によると、全国の第三セクター鉄道運営会社63社のうち、2015年度(2015年4月~2016年3月期)の経常赤字は、半数の35社(構成比55.5%)を占めたことが判明した。また、利益剰余金がマイナスの累積赤字も40社(同63.4%)と6割に達し、三セク鉄道の厳しい経営環境が明らかになった。

 営業収入額トップは2005年8月開業の「つくばエクスプレス」を運営する首都圏新都市鉄道(本社・東京都台東区)。2位以下も沿線人口と輸送人員の増加を背景に営業収入を増やした都市型三セク鉄道が上位を占めた。一方、旧国鉄転換型の三セク鉄道は31社中、経常赤字が26社と8割を超え、また、半数を越す18社の輸送人員が前年度から減少、沿線人口の減少に伴う輸送人員減で慢性的な赤字体質が大きな課題になっている。

 三セク鉄道63社の2015年度の営業収入合計は2297億700万円(前年度比7.7%増)で、165億8200万円の増収だった。総輸送人員も8億7003万6000人(同8.1%増)と前年度から6526万4000人増加した。三セク鉄道を3分類すると、最大の営業収入は都市型の1833億6100万円(同4.5%増)で、三セク鉄道の営業収入全体の約8割を占めた。輸送人員でも全体の約9割を占めている。

 三セク鉄道全体の経常損益の合計は241億4800万円(前年度比55.0%増)の黒字だった。都市型三セク鉄道(20社)が279億8200万円(同60.6%増)の黒字だったのに対し、旧国鉄転換型(31社)は21億6600万円の赤字で前年度(6億8400万円の赤字)から大幅に赤字額が拡大。私鉄・新幹線転換型(12社)も16億6800万円の赤字で前年度(11億5700万円の赤字)から赤字幅が拡大した。

 一方、利益剰余金の合計は2068億8200万円のマイナスとなった。とりわけ、初期投資の負担などから都市型の累積赤字は2135億4600万円と突出している。都市型20社のうち8社が100億円以上の累積赤字を抱えており、巨額の累積赤字の解消が課題になっている。

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