28年度に何らかの賃上げを行った中小企業は63.9%に増加
   
カテゴリ:経営
作成日:09/05/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 経済産業省が1日に公表した「平成28年中小企業の雇用状況に関する調査」結果(有効回答数7024社)によると、平成28年度に常用労働者の1人当たり平均賃金を「引き上げる/引き上げた」とする企業の割合は、平成27年度から2.5ポイント増の63.9%だった。平均賃金の引上げ方法(複数回答)としては、「月例給与引上げ」を実施した企業の割合は96.3%、「賞与・一時金の増額」を実施した企業は48.9%だった。

 賃金を「引き上げる/引き上げた」と回答した企業の理由(複数回答)で最も多かったのは「人材の採用・従業員の引き留めの必要性」で、47.6%となっており、中小企業の人手不足感がうかがえる。一方、賃金を「引き上げない/引き上げていない」理由(複数回答)で最も多かったのは、「業績回復・向上が不十分」の88.3%で、賃上げを実施していない企業では、業績が低迷していることが賃上げを妨げている状況がうかがえる。

 月給の引上げについて、「実施する/した」とする企業の割合は、平成28年度は平成27年度から5.0ポイント増の61.6%(賃金を引き上げた企業における割合は96.3%)となっている。また、従業員規模別にみると、全ての規模において増加しており、従業員数が1~20人の企業においては「実施する/した」の割合は39.7%だが、従業員数が100人超の企業においては、78.4%となっている。

 平成28年度にベースアップを「実施する/した」とする企業の割合は、平成27年度から1.5ポイント増の10.2%(賃金を引き上げた企業における割合は16.0%)となっている。また、従業員規模別にみると、従業員数が1~20人の企業においては「実施する/した」の割合は3.8%だが、従業員数が100人超の企業では、18.2%と、従業員規模が大きくなるほど、ベースアップを実施した企業の割合が大きくなっている。

 なお、雇用を巡る環境については、人員計画について、「人員を増やした/増やす予定」と回答した割合は、平成27年度は45.8%、平成28年度は53.0%となり、昨年度より7.2ポイント増加している。その方法(複数回答)としては、平成28年度においては「正規雇用労働者を中途採用で増やした」が66.5%で最も多く、中途採用による人員増加を実施している企業が多いことがうかがえる。

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