2015年度福利厚生費は過去最高額の11万627円
   
カテゴリ:経営
作成日:11/16/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 企業が2016年3月までの1年間(2015年度)に負担した福利厚生費は、従業員1人当たり1ヵ月平均11万627円と、初めて11万円を超えたことが、日本経団連の調査で分かった。前年度を2.1%上回り、6年連続で増加して過去最高額となった。同調査は、1995年度から毎年実施し、今回で60回目となる。今回の回答企業は667社で、回答企業の労務構成は、1社当たり平均従業員数が4583人、平均年齢が41.6歳。

 調査結果によると、福利厚生費のうち、社会保険料等の企業拠出分である法定福利費は、前年度比2.0%増の8万5165円と、6年連続で増加。企業が任意に行う福祉施策に要する費用である法定外福利費は、同2.3%増の2万5462円となった。月例給与と賞与・一時金を含めた現金給与総額(57万739円)に対する比率は、福利厚生費全体が19.4%で、このうち、法定福利費は14.9%、法定外福利費は4.5%となった。

 法定福利費は、現金給与総額の伸び(1.2%増)を上回って増加する傾向は変わらず、社会保険料率の引上げの影響などから費用が増加した。「健康保険・介護保険」は前年度比1.5%増加して3万1177円、「厚生年金保険」は同2.3%増加して4万6441円、「雇用保険・労災保険」は同2.0%増加して6728円、「児童手当拠出金」は同0.6%増加して794円となった。

 法定外福利費は抑制傾向が続いているものの、9年ぶりに増加に転じた。内訳をみると、医療・健康費用の「ヘルスケアサポート」が大幅に増加し(1036円、前年度比10.6%増)、初めて1000円を超えた。この要因として、昨年12月から義務化されたストレスチェックへの対応や健康経営の高まりが考えられる。また「育児関連」も387円(同11.2%増)となり、引き続き企業が子育て支援策を充実させていることがうかがえる。

 なお、通勤手当・通勤費は従業員1人平均9169円で前年度と比べ5.7%減、退職金(退職一時金と退職年金の合計額)は5万6514円、同2.3%増。また、カフェテリアプラン消化ポイント総額は円換算で4549円、同5.0%増となり、利用実績が分かる導入企業は8社増えて104社となった。カフェテリアプランとは、従業員に一定の福利厚生利用枠と給付の選択肢を与え、従業員が個々の必要性に応じて給付を選択する仕組み。

 同調査結果の概要はこちら