社長としての最優先課題は「利益率向上」「組織活性化」
   
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作成日:09/30/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 日本能率協会が28日に発表した「現役の取締役・執行役員に聞いた経営者に求められる資質と行動に関するアンケート調査」結果(有効回答数236人)によると、社長になったらまず取り組むこと(3つ回答)は、1位「利益率向上」(37.22%)、以下、「組織活性化」(28.6%)、「新事業創造」(23.4%)、「ブランド力向上」(22.9%)、「事業の選択と集中」(17.3%)となった。「総売上向上」は10.8%で9位だった。

 「利益率向上」の回答理由では“株主への受託責任を果たすため”“ROEを引き上げ経営を安定させるため”といった言葉が散見された。また、「組織活性化」、「新事業創造」の回答理由では“持続的成長には不可欠”という意味の言葉が多く見られ、長期視点で攻めの経営を意識していることが分かる。「組織活性化」が、「利益率向上」や「新事業創造」を目指すうえで必要という回答も見られ、相互作用が高いと考えていることがうかがえる。

 これらは2015年6月から施行されたコーポレートガバナンス・コードが提唱している内容とも親和性が高く、経営者の意識に影響があることが読み取れる。また、経営者(含取締役・執行役員)に求められる意識と行動(5つ選択)については、1位「経営理念やビジョンを自分の言葉で発信している」(68.5%)、2位「部下がチャレンジできる環境を創っている」(44.3%)、3位「確固たる強い信念を持つ」(43.0%)となった。

 他方、幹部(事業部長・部長)に求められる意識と行動(5つ選択)では、1位「部下がチャレンジできる環境を創っている」(48.1%)、2位「上司・部下とは直接コミュニケーションをとる」(39.6%)、3位「率先垂範を実践するようにしている」(32.8%)となった。部下がチャレンジできる環境を創ることは、経営者・幹部ともに共通して求められていることが分かった。

 職場で評価されていると思う経営者に求められる資質(3つ選択)については、1位「本質を見抜く力」(19.9%)、2位「過去からの脱却」(18.6%)、3位「イノベーションの気概」(17.8%)となった。2014年回答も1位は「本質を見抜く力」(20.2%)だったことから、本質を見抜き、過去に縛られず環境変化に対応する変革型のリーダーが役員に抜擢されている状況がうかがえる。

 2014年から2015年にかけて順位を大きく上げたものは、「胆力」9位(12.6%)→4位(15.7%)、「論理的思考」12位(11.2%)→5位(14.8%」、「リスク管理」13位(10.8%)→7位(12.7%)だった。昨今、地政学リスクや自然災害、企業の不祥事など、リスク管理に関する話題が増え、予期せぬ事態や困難な状況を乗り越えるための資質として胆力、論理的思考が評価として高まった可能性がある。

 同調査結果はこちら